尿路結石症について
尿路結石症は、尿の成分が結晶化して、腎臓から尿道までの尿路に結石ができる病気です。結石ができる場所は、腎臓、尿管、膀胱、尿道など様々で、腎臓と尿管にできる結石を上部尿路結石、膀胱と尿道にできる結石を下部尿路結石と呼びます。 尿路結石症のほとんどは上部尿路結石で、30〜60代の男性に多くみられます。
原因
尿路結石ができる原因は、様々な要因が考えられています。
・尿の流れが滞ることや、寝たきり状態が続くこと
・尿路感染症
・食事の内容
・薬の影響
・遺伝的な要因
・生活習慣病やメタボリックシンドローム
・結石の成分によって異なる原因
症状
尿路結石症の症状は、結石の位置や大きさによって異なりますが、主な症状は以下のとおりです。
・疼痛:腎結石では、腰の鈍痛や、腎盂尿管移行部に結石が詰まった場合の腎部痛などがあります。尿管結石では、結石が尿管内を移動することで側腹部から背部にかけての激痛が起こることがあります。
・血尿:結石で尿路の粘膜が傷つくことで、肉眼で見える血尿や、顕微鏡で確認できる血尿がみられます。
・結石の排出:尿管結石の80%以上は自然に排出されます。
・無尿:片方の腎臓に結石がある場合でも、もう片方の腎臓が正常に機能しているにもかかわらず、尿が出なくなることがあります。
・膀胱刺激症状:頻尿、残尿感、排尿困難など。
・尿線中絶:排尿の途中で尿が止まること。
診断
尿路結石症の診断には、以下のような検査が行われます。
・症状:特有の痛みや血尿から推測します。
・X線検査:尿路結石の陰影を確認します。
・排泄性尿路造影検査:腎臓の機能や、結石より上部の尿路の拡張を確認します。
・逆行性腎盂造影検査:排泄性尿路造影検査で診断できない場合に、結石の描出を行います。
・超音波検査:腎結石や、水腎症の状態を観察します。
・CT検査:超音波検査で不十分な場合や、X線で写りにくい結石の診断に有用です。
治療
尿路結石症の治療は、結石の大きさや位置、症状などを考慮して、内科的治療と外科的治療を使い分けます。
内科的治療
・対症療法:痛み止めや、感染がある場合には抗菌薬を使用します。
・自然排石の促進:水分を多く摂取したり、運動をしたり、薬を使用することで、結石の排出を促します。
・結石溶解療法:薬剤で溶解できる尿酸結石やシスチン結石に対して行います。
外科的治療
・体外衝撃波結石破砕術(ESWL):体外から衝撃波を当てて結石を破砕する方法です。
・経皮的腎(尿管)結石破砕術(PNL):腰から内視鏡を挿入して結石を破砕する方法です。
・経尿道的結石破砕術(TUL):尿道から内視鏡を挿入して結石を破砕する方法です。
・開腹術:他の治療法が難しい場合に行われます。
予後
尿路結石症は再発しやすい病気です。再発を防ぐためには、食事療法や水分摂取などの生活習慣の改善が重要です。また、結石の原因となる代謝異常などの基礎疾患がある場合は、その治療も大切です。