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α-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI薬)について

1.α-グルコシダーゼ阻害薬の概要
作用機序
・α-グルコシダーゼは小腸の酵素で、二糖類や多糖類を単糖類(グルコースなど)に分解する働きをします。
・α-グルコシダーゼ阻害薬はこの酵素の働きを抑え、炭水化物の分解と吸収を遅らせ、食後の急激な血糖上昇を抑制します。
 
2.主な薬剤とその特徴
アカルボース
アカルボース錠 /グルコバイ
1回50mgで開始し、忍容性を確認しつつ増量
維持用量:1回100mgを1日3回 、食直前
最高投与量:1回100mg(1日300mg)
 
ボグリボース
ボグリボース錠/ベイスン
維持用量:1回0.2mgを1日3回、食直前
最高投与量:1回0.3mg(1日0.9mg)
 
ミグリトール
ミグリトール錠/セイブル
維持用量:1回50mgを1日3回、食直前
最高投与量:1回75mg(1日225mg)
 
3.投与方法と使用上の注意
投与方法
・必ず「食直前」に服用することで、炭水化物摂取後の効果を発揮します。
・食事を摂らない場合には服用しないよう指導が必要です。
効果の特徴
・単独投与の場合、空腹時血糖にはほとんど影響せず、食後血糖に対して効果的。
・SU薬やインスリン併用時に低血糖が発生するリスクがありますが、ブドウ糖の投与により速やかに改善可能。
副作用
・腹部膨満感、放屁の増加、下痢が一般的な副作用として認められます。
・腸閉塞のリスクがあるため、高齢者や腹部手術歴のある患者には慎重投与が必要です。
 
4.ボグリボースの特別適応
耐糖能異常に対する適応
・ボグリボース(0.2mg錠のみ)は、耐糖能異常に基づく2型糖尿病発症抑制に使用可能。
適応条件
・空腹時血糖が126 mg/dL未満、かつ75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)の2時間値が140〜199 mg/dLである場合。
・食事療法や運動療法を3〜6か月行っても改善しない場合。
・以下のいずれかを併発する場合に限定される
・高血圧症
・脂質異常症(高中性脂肪血症、低HDLコレステロール血症など)
・肥満(BMI25以上)
・糖尿病の家族歴(2親等以内)
 
5.注意点
・α-グルコシダーゼ阻害薬は単独での低血糖リスクが低い薬剤ですが、他の血糖降下薬(特にSU薬やインスリン)との併用時に注意が必要です。
・腸閉塞のリスクを避けるため、高齢者や消化器に問題がある患者への使用は慎重に行います。
 
α-グルコシダーゼ阻害薬は、特に食後高血糖を抑制する目的で使用される重要な薬剤であり、投与タイミングや適応条件を厳密に守ることで最大限の効果を得ることができます。

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