亜急性甲状腺炎(SAT)とは?
亜急性甲状腺炎(SAT)は、ウイルスが原因と考えられる甲状腺の炎症性疾患です。甲状腺ホルモンが一時的に漏れ出し、甲状腺中毒症の症状が一過性に現れることが多いのが特徴です。
発症しやすい人
・主に40〜50歳の女性に多くみられます。
症状
・前頸部の痛み:風邪症状の後に、喉のあたり(前頸部)に痛みが生じ、痛みが耳の後ろに広がることがあります。
・前頸部の圧痛:押すと痛みを感じる部分があり、硬く結節のように感じられることが多いです。この痛みは左右どちらかに移ることもあります。
・その他の症状:悪寒、微熱、汗をかきやすくなる、体重減少、全身のだるさ。
検査
・血液検査:一時的な甲状腺中毒症のため、FT4(遊離T4)値が上昇し、TSH(甲状腺刺激ホルモン)が低下します。また、CRPや赤沈の値が上がることもあります。
・超音波検査:痛みのある部分に一致して、低エコー(黒く見える部分)が確認されます。
・シンチグラム検査:甲状腺のシンチグラムで、甲状腺への放射性物質の取り込みが低下していることが見られます。
診断
これらの検査結果と、有痛性の甲状腺腫がある場合に、亜急性甲状腺炎と診断されます。
治療
・基本的に数か月で自然に回復します。
・痛みや発熱に対しては、NSAIDs(アスピリンなどの消炎鎮痛剤)が用いられますが、効果が不十分な場合はステロイドを投与し、1〜2週間ごとに徐々に減らしていきます。
・甲状腺中毒症状に対しては、β遮断薬を使って症状を和らげます。
自然に治癒することが多い病気ですが、症状が強い場合には医師と相談しながら適切な治療を受けることが大切です。
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