特発性大腿骨頭壊死症(idiopathic osteonecrosis of the femoral hesd)について
特発性大腿骨頭壊死症とは
特発性大腿骨頭壊死症は、原因不明で大腿骨頭が壊死し、骨頭の変形が進むことで発症する病気です。進行すると変形性股関節症を引き起こし、日常生活に支障をきたすことがあります。特に30〜40代の男性に多く、ステロイド投与やアルコールが関連する危険因子とされています。難病指定の特定疾患です。
症状と所見
・股関節痛:股関節に突然痛みが現れ、特に負荷をかけた際に痛みが増します。初期の痛みは2〜3週間で軽減することもありますが、進行すると持続的な痛みになります。
・可動域制限:股関節の外転や内旋が制限され、動かしづらくなります。
・両側性の発症:約半数の患者で両側の股関節に発症し、特にステロイド関連では70%が両側に及びます。
・画像所見:
・X線:大腿骨頭に帯状硬化像や関節面の不整が見られます。
・MRI:骨頭内に低信号域(band pattern)が確認され、壊死が疑われます。
治療
治療は、壊死の進行度や範囲に応じて以下の方法が検討されます。
1.保存療法:軽症の場合、免荷(体重をかけない)や鎮痛薬で経過を観察します。
2.関節温存術:中等症で若年〜中年の場合、大腿骨の骨切り術や骨移植が行われることがあります。
3.人工関節置換術:重症例や高齢者では、人工大腿骨頭置換術や人工股関節全置換術が選択されます。
ポイント
・鑑別疾患:大腿骨頭軟骨下脆弱性骨折や一過性大腿骨頭萎縮症などと区別が必要です。
・関連因子:ステロイド投与歴がある人(特にSLE患者)や、アルコール多飲者はリスクが高いとされています。