リアル脱出ゲームで、知らない人と協力プレイしました。

「リアル脱出ゲーム」なるものに挑戦した。

ゲームによってかなり内容が違うらしいが、私が挑戦したゲームは、とある場所に閉じ込められ、そこから行き来できる複数の部屋に用意された様々なヒントを解読し、制限時間内に脱出を目指すというもの。

参加人数は、最大6人。仲間同士で6人で予約すれば貸し切りで遊べる。
1人や2人でも予約できるが、同じ回に知らない人が予約してきたら、知らない人たちといっしょに遊ぶことになる。
私に仲間が6人もいるはずがなく、Twitterのフォロワーの20代既婚者女性と2人で参加申し込みをすることにした。
私もフォロワーも脱出ゲームの経験はほとんどなく、2人では脱出できそうにないので、知らない人が居る回に応募して、あえて知らない人といっしょに遊ぶことにした。

私とフォロワーの都合が合って遊べるのは平日の昼間。
なかなか参加者が居ない。平日の昼間から脱出して遊ぶ奴はそうそういないのだ。
インターネットで事前に予約するのだが、どの回も「参加受付残り6人」と書いてある。ひとりも予約していないのだ。
そんななか、ひとつだけ「残り3人」となっている枠があった。3人が予約している。
私達は、その枠を予約した。


脱出ゲーム当日。

私とフォロワーが会場に着くと、既にいっしょに脱出する3人が受付を済ませていた。予約した段階ではいっしょにプレイする3人がどんな人達かはわからないため、会場受付で初めて相手がどんな人間か発覚する。
今回いっしょに脱出する3人は、大学生3人組だった。男1人と、女2人。男のほうは、本当に真面目な人間がかけるはずのないような丸眼鏡をしていた。見るからにチャラい感じ。あくまで私の経験上であり、偏見だと言われればそれまでだが、本当に真面目な人間はあんな丸眼鏡をかけるはずがない。
女のほうもチャラいというか軽い感じで、詳細は書かないがファッションも嫌な感じだ。女の片方は、最近時々見かける、長ズボンの真ん中をくりぬいた謎のズボンをはいていた。ダメージジーンズとかそういう次元ではなく、完全にズボンが上下2つに分かれている。あれは何という名前なのだろう。調べても覚えられないだろうし、そんなもの覚えなくていい(私には覚える価値が無い)ので調べていないが。

私はその3人組に話しかけた。
「よかった~~~。なんか、ただただ真面目に謎解きを真剣にするような気難しそうな人がチームだったらどうしようかと思ってたんですよ(笑)。冗談とか通じないような超真剣ガチ脱出おじさんみたいなのだったらどうしようと思ったんですけど、良かったですわ。世代もいっしょくらいで」
丸眼鏡男が「はは。冗談でしか会話しないような3人なんで。よろしくお願いします」と言ってくれた。男も女も、初対面の人ともきちんと会話できる感じの人たちで良かった。私と同世代の人間は、初対面で私が少し話しかけただけで引いてしまうような、仲間内以外での会話が苦手な人も多い。彼らはそうではなかった。安心してたくさん話しかけられる。

私は「大丈夫でした?平日の昼間だったら3人で貸し切りで遊べるだろうと思って予約しました?他の時間予約ガラ空きなのに、なんか謎の2人がわざわざ俺らと同じタイミングめがけて予約してきたぞ!?ふざけんな!ってなってないかなと思って」と、相手への配慮をしてみせた。
丸眼鏡男は「あはは。全然大丈夫ですよ!私達も、いろんな人といっしょにやったほうが楽しいんで」と言った。
もしかしたらこちらを気遣っただけで本当は貸し切りで遊びたかった可能性もあるが、表情とか雰囲気的に、そんな感じはしなかった。知らない人といっしょでも平気そうだ。

「貸し切りのほうが良かったに決まってんだろ!」なんて言う奴はいないと思うし、私も「全然大丈夫です」という返答がくることは分かり切っていたが、こういう気遣いができる奴だと、相手に思わせておきたかったのだ。
これから1時間近くいっしょにチームプレイしなければならないため、相手からは好かれておきたい。

喋っていると、この3人組はリアル脱出ゲームが大好きで、結構いろいろ挑戦していることが発覚した。さらに、別の脱出ゲームの店舗でスタッフのバイトまでしているらしい。大ベテランだ。
私のフォロワーは5年前に2回遊んだことがあるだけ、私にいたっては一切経験が無く、昨年末にKing&Princeがファンクラブのビデオで脱出ゲームに挑戦しているのをニヤニヤしながら観たことがあるだけだ。
ほとんど丸眼鏡たち3人に謎を解かれて何もできなかったらどうしようか。少し不安になった。

こうして始まる前に会話を交わし仲良くなりつつ不安も出てきたところで、案内役の女性スタッフに連れられ、ゲームが行われる部屋へ移動。

ゲーム内容のネタバレは禁止で、SNS等に一切書くなと言われているので、ここからはあまり詳細な説明はできない。


脱出が行われる部屋に入室。入室すると、ヒントになりそうな記号の羅列が壁に書いてあったり、様々なアイテムが置かれている。
それを見て
「わー!すごい!ワクワクする~」
「あれ、なんか○○みたいじゃない?」(部屋に置いてあるものを例える。ネタバレになるので詳細は言えない。)
「ははは!確かに!!」
「ドキドキしてきた!」
など、部屋を見て思い思いの感想を言って笑い合う。
そして、案内役のお姉さんからルールや注意事項の説明を受ける。

案内役のお姉さんが
「ご不明な点等ないですかね。大丈夫ですね。ハイ。それでは始めます。ゲーム、スタート!!」と言うと、
丸眼鏡男が突然部屋にあった南京錠のダイヤルを回し始め、いきなり4桁の数字を揃えて鍵を開けてみせた。開始10秒で、一つ目の謎が解かれた。

意味が分からない。

丸眼鏡男は、私たちが部屋を見ていろいろ感想を述べている間に、壁に書いてある謎を読み、解読していたのだ。

丸眼鏡男の連れの女2人が「え~!?どういうこと~!?」などと言う。

丸眼鏡男は得意げに「ほら、あそこ見て。あそこにこの記号が書いてあるでしょ?で、これをこうして、こう考えて、そしたらこの数字が出る」などと語った。
女2人と私のフォロワーは「え~!そんなところに!!全然気づかなかった!こんなところ見ないよね~?(笑)」などと言っている。

不愉快だ。
丸眼鏡男、女にモテようとしているのか?
あり得ない。

脱出ゲームは、チーム戦だ。仲間同士の情報共有が重要だ。
普通の人が見つけないようなところにヒントらしきものが書いてあるのを見つけたら、
「見て見て!!!あんなところに、なんかヒントっぽいものが書いてあるよ!!」と叫ぶべきである。

なぜヒントを見つけたのに、黙っているのか。
自分の手柄にしようと必死に頭で考えるのか。
今回はたまたま丸眼鏡ひとりの力で解ける謎だったが、解けなかったらどうするつもりだったのか。ひたすら独りで考え続けるつもりだったのだろうか。ヒントをみつけてすぐに「あんなところに何か書いてあるぞ!」と言っておけば、それを踏まえて早くから全員で問題解決に取り組むことができて、早く答えが出せる。

最初に自分の力を見せつけたかったのか知らないが、逆効果だ。

私の中で丸眼鏡男の好感度はダダ下がり。

今書いたようなことを直接本人に言ってやりたかったが、ゲームの制限時間のことも考えるとそんなことを言っている暇はないのでやめた。

私はどんな些細なことも大声で言った。

「ここになんか微妙な隙間あるけど、これは関係ないか?」

「コレまだ使ってないけど、これは今関係ないか?」

私の発言のほとんどは的外れで、解く問題には関係なかったが、言ってみることが大事なのだ。

実際、ゲームの前半、1つだけ、私の何気ない発言がきっかけで、大きな謎をひとつ解くことができた。

ゲームが始まってからしばらくは丸眼鏡の男に腹が立って仕方なかったが、自分の発言で謎が解けたことがきっかけに私のテンションはアップ。
丸眼鏡のことも、まぁ許してやるかという気になった。

ゲーム後半は、内容が複雑すぎて全く理解できず
他の4人が「これがこうなってこうだ!」「あ~!そういうこと!じゃあ、これをこっちにやればいいってこと?」「なるほど!」と言っている中、
ひとりずっと
「え??どういうこと?」となっていたし、特に何もできなかった。


中学・高校時代、家庭科の調理実習や理科の実験でみんながチームで動いている中、私だけ何も把握できておらずただその場に佇んでいた嫌な記憶が蘇ってきた。

私は、机上で紙とペンだけを使って数式を解くとか、そういうことに関しては結構できる。
だが、何か物理的な物、アイテムがいくつも登場し、それを使って何かするとなると、とたんに分からなくなる。

理科で実験の手順を先生が説明する。実験器具の使い方を、教科書に載っている図を使って説明する。
それが全く理解できない。
現物を手にして実演してくれる場合は分かることも多いが、それでもわからないこともある。

体育で、チームでメンバーがどのように動けばいいか、先生が説明する。
ホワイトボードを使い、マグネットを人やボールの代わりに配置してボード上で説明する。
その説明は理解できる。
そしてホワイトボード上に別の形でマグネットを配置して「じゃあ、この状況ならどうすればいい?」と問われれば、答えることができる。
いざ本番、ホワイトボードの上にマグネットを置いて、ではなく地面に人間が配置されて、ボールがあって、さぁ行動しろと言われると、途端にわからなくなる。

最近だと、自動車教習所の応急手当の訓練もわからなかった。
応急手当でガーゼを巻くのだが、結び方を教官が説明するが、それ通りに同じ動作をすることができない。


紙とペン、机上だけで完結することでないと、理解が難しい。

幼少期から友達複数人とチームで何か外遊びするとか、みんなで遊びに行っていろいろな物に触れるとか、友人のやっていることを真似して遊ぶとかそういう経験がなかったのが大きな原因なのだろうか。

過去の記事でも散々言ったが、友人をうまくつくらせたりクラスに馴染ませることができなかった教員の責任は大きい。

私は最近、きちんとそういうことに気づいて他人とたくさん関わろうと自力で頑張ることができているし、めげずに自力で動くことができるから良いが、クラスに馴染めないまま卒業してそのまま大人になり、大人になってもずっと孤独な人も大勢いると思う。本当に可哀相だ。友達をつくれなかったことが、何かをするときの理解力にまで影響してしまうなんて。本当に影響しているかは知らないが。


その話は本題ではないので話を脱出ゲームに戻すが、
なんだかんだあって、結局脱出はできなかった。

ゲームの後、スタッフがどうすれば良かったのか解説をしてくれた。

謎解きの後半、1人がこの部屋に居て残りの4人が別の部屋に行って同時に何かする、みたいな場面がある。
そこでの謎解きがうまくいかなかったことが響いて脱出できなかったみたいだ。

私はスタッフが解説していた最後の謎は勿論、自分以外のメンバーが解いて納得していた謎も含め何も理解できなかったが、まあ良い。
前半で1つ私の発言きっかけで謎が解けたし、初めての挑戦なので上出来だ。

フォロワーは丸眼鏡たち3人と別れたあとの帰り道、私に言った。
「あの部屋わかれるところ、私が向こうの部屋行ってたら絶対解けてた!!!悔しい!!」

私は部屋が分かれる前段階でつまずいているので何もわからなかったが、フォロワーとしては、とにかくゲームのときに向こうの部屋に行った奴のせいで脱出できなかった、そこさえ自分が担当していればとんとん拍子に脱出できたという見解らしい。

私は「え~!そうだったの!早く俺に言ってくれれば『お前のせいだよ!』って言ってあげたのに~!ゲーム終わったらもう嫌われても良いんだから、最後なんて何言っても良いんだし」と言ったが
フォロワーは「いや!いいよ言わなくて」と言った。

一応私は、丸眼鏡たちに届くかどうかわからないが、ツイートしておいた。


あいつのせいだ。


まぁ、仕方ない。そりゃ、誰だってわかることとわからないことがある。

他の4人が理解できた謎も、私にはわからなかったわけだし。

ただ、私は分からないなりに、あまりにもわからないときは発言を控えたり、4人と1人で分かれるときに絶対1人側にならないようにするなど、きちんと身の程をわきまえてゲームに参加していた。

丸眼鏡のツレの女のように、よくわからないのに1人側になるような真似はしない。(そんなの、確実にわかるとかいう確証など持てるはずがなく、だったら誰も1人側に行けないではないか!などと言い出す人がいるかもしれないが、そんなことを言い出したらきりがないので言わないこと。)

次にまた参加する機会があるか分からないが、もしあれば、絶対に脱出したいし、脱出できなかったとしても、少なくとも他の参加者が理解した謎は、自分も理解したいと思う。

そういえば、理解するために謎解きの答えというか解説をプリントにして配ってほしかったなと思う。解説はしてくれるものの、プリントはもらえなかった。

「いや、プリント配るとネタバレ流出が!」と言う人がいるかもしれないが、ゲーム中にでてくる謎はスマホ撮影OKだったりする。
「撮った写真は全部消して下さい」と言われるものの、消したかどうかの確認などもないので、わりとその辺のセキュリティは甘い。
だったら、解説のプリントを配る、プリントを道端やゲーム会場周辺に落とされるのが不安なら電子データを配るなどしてほしかった。

私より頭の悪い人間もそれなりに居ると思うが、みんな理解できるのだろうか。
でも、まぁ仕方ない。

次はもう少し簡単な脱出ゲームを探してみようかな。


いや、脱出ゲームは、もう当分やらなくていいかな…。