ドラマも映画もほぼ見たことのない私は、何を観て育ったのだろうか?
私は、ドラマとか映画とかをほとんど見ずに生きてきた。
アニメもほとんど見なかったし、漫画に至っては1冊も読んだことが無い。
ジブリもディズニーも1作品も観たことが無い。
今まで、何を観て生きてきたのだろうか。
小さい頃は、周りの普通の子と同じようなものを観てきた。
幼少期は、教育テレビをよく観ていた。
コッシーとかワクワクさんとかが好きだった。
いつも夕方、母が帰ってくるまで、祖母といっしょに番組を観ていた。
番組名は忘れてしまったが、料理の番組があって、
主役の小さい女の子が料理をして、
出来上がったものを一口食べて感想を言うのだが、
女の子が食べるたびに祖母が
「あんた、ひと口がそんなちぃ~~~ちゃかったら(小さかったら の意)なんにも味が分からんが。」と言っていたのを覚えている。
子どもなんだし、ひと口が小さいのは仕方ないような気がするが、
祖母は毎回ひと口の小ささに呆れ怒っていた。
毎日同じ子どもが料理をつくって食べるのだが
「もっとガブッと食べんと、味わからんが」
「そんなちょっとじゃ何もわからんでしょ~」
「ちぃ~~~ちゃい口」
と、毎回、初めて見たかのように文句を言っていた。
僕は、おばあちゃんの前ではなるべく大きな口をあけてご飯を食べようと心に決めた。
テレビだけでなく、ビデオレンタルもよく利用していた。
母が近所のゲオでビデオを借りてくれた。
僕は小さい頃、電車が好きだったので
「のりもの探検隊」という、電車をはじめとした乗り物を紹介するようなビデオをよく観ていた。
幼少期はNHK教育テレビ、のりもの探検隊、アンパンマンなどを中心に観る生活を送ってきた。
ちなみに、
アンパンマンは観たが、仮面ライダーやウルトラマンは1回も観たことがない。
小学生になった頃、
朝も教育テレビを観ていたが、
テレビに夢中になり朝食を食べるスピードが落ちるからという理由で
朝は教育テレビをやめて、日テレの情報番組「ZIP」を観るようになった。
(意外と内容が面白くてZIPを気に入ってしまい、
結局朝食を食べるスピードは遅いままだった。)
ある日、朝起きると、
珍しくZIPではなく教育テレビがついていた。
母に「今日はZIPじゃないの?」と聞くと
「オリンピックの話ばっかりでつまんないから」と言われた。
うちの母は、スポーツに興味が無い。
スケーターの高橋大輔さんが好きらしく、唯一フィギュアスケートだけは時々テレビで見ていたが、その他のスポーツは一切見ていなかった。
オリンピックは全く観ていなかった。
親が観ていないので、僕も観なかった。
僕はテレビでスポーツ特集やスポーツ番組を一切見ずに育ってしまったため、スポーツのルールを知らなさすぎて、体育の授業ではかなり苦労した。
バスケでは、30秒でシュートを何回打てるかという実技テストがあったのだが、
ゴールの後ろにある白い板、もしくは板の黒い枠にボールを1回当ててからゴールネットに入れるようにすると良いということを知らなくて、
板を狙わず直接ゴールネットを狙って練習していたため大損した。
(テストが終わってから、様子を見ていたクラスメイトに「後ろの板使わんの?」と言われて初めて知った。)
高校2年生のとき、体育でどの競技をするか選ぶことができて、
サッカー、バトミントン、テニスの3択だった。
僕はサッカーを選んだ。
理由は、バトミントンとテニスの違いが分からなかったからだ。
バトミントンもテニスも、網のラケットで打ち合いをする競技だということは知っている。
ただ、テニスかバトミントン、片方の競技がボールを使い、もう片方は羽根だった気がするのだが、
ボールを使うのがどっちなのか分からない。
そして、
テニスとバドミントンがそれぞれ学校のどこで開催されるか分からない。
授業の時、体育館に向かえばいいのか、外のコートに向かえばいいのか分からない。
だから、間違いなく外で行われることが確かなサッカーを選んだ。
(「テニスどこでやるの?」と誰かに聞けばいいだろうと思われるかもしれないが、私は当時友達がゼロ人だったため、聞くことができない。喋ったこともないような人から急に「体育のテニスって外?体育館?」と聞かれたら、「なんで当たり前の事を聞いてきたんだ?友達つくりたいんだとしたら、きっかけつくるの下手にもほどがあるだろ」と思われるに違いない。)
少々話が逸れたが、
とにかく僕はテレビでスポーツは一切見なかった。
スポーツ番組を見ないので、スポーツ漫画も読まない。
スラムダンクとかキャプテン翼とか、どんな内容か全く知らない。
冒頭にも書いたが、そもそも漫画を1冊も読んだことがない。
母はさくらももこのファンで、
僕にコジコジの漫画を1冊くれた。
読んでみようとページを開いたが、
どのコマから読んでいいか分からないし、
ひとコマに2人の台詞があるとどちらから読めばいいかわからないし、
とにかく読み方が分からなかった。
そしてコジコジを読むのを諦め、今に至る。
漫画はもちろん小説などの本もほとんど読まなかったため、小さい頃は家での娯楽はテレビがメインだった。
基本的には、親がテレビを観ていて、
僕は気になったらいっしょに観る。
うちの母はバラエティー番組が好きだったため、
僕も小学生になったころから
母といっしょにバラエティーをよく観るようになった。
母はトーク番組が好きだったが、
僕は小学生の頃はトークを聞いても話の意味をまだあまり理解できず、
ロケを中心とした番組のほうが好きだった気がする。最近はトークのほうが好きだが。
当時いちばん好きだったのは「逃走中」で、
毎回親に録画してもらって何回も見返していた。
あるとき、ニンテンドー3DSで逃走中のゲームが発売されるとCMで知り、
親に3DSを買ってもらった。
僕は、テレビ番組の逃走中と同様、
ハンターから走って逃げて、
曲がり角を利用してハンターを撒き、
建物の影にこっそり隠れたりするゲームを体験できると思って買ったのだが、
いざやってみると、
ハンターに追われたらタイミングよく爆弾を投げつけてハンターを転ばせるという非現実的な内容で少しがっかりした。自分のキャラクターの走るスピードに対し、ハンターの速さが倍くらいあり、ただ走っていては絶対に追いつかれるという仕様だった。
それでも、慣れれば結構楽しくて、
家で暇なとき、
親が僕の興味ないテレビドラマなどを観ているときは
ハンターに爆弾を投げて遊んでいた。
僕はバラエティ番組はよく母と観たが、ドラマはほとんど観なかった。
3本だけ、母といっしょに観たドラマがある。
・家政婦のミタ
・ATARU(これは、後に公開された映画版も観に行った)
・○○妻
これだけは観た。なぜ観たのかは覚えていない。
なんとなく観ただけで、特に好きな俳優がいたとか親に勧められたとかではないと思う。
そして、どんな話だったのかもよく覚えていない。
特に感動した記憶もない。
「○○妻」がこの3本のなかでは一番新しいが、
確認したところ僕が小学生の頃に放送されているので、
僕はおよそ10年間くらいドラマを1本も観ていない。
ドラマは人生で3本しか観ていない。
ちなみに、映画は
・ドラえもん
・クレヨンしんちゃん
・チェブラーシカ&くまのがっこう
・ATARU
・カメラを止めるな
・君の名は
を観たことがある。
小学生の頃、ドラえもんとクレヨンしんちゃんはしばらくの間毎週テレビで観ていたと思う。そして、2回か3回くらい、映画を観に行った。
チェブラーシカは、昔観ていた「のりスタ」という子供番組で観て、好きだったから観に行った。
「カメラを止めるな」「君の名は」は、あまりに面白いと噂だから観た。
いずれも自発的に観たわけではなく、母に誘われて観に行った。
そして、ドラマ同様、内容は全く覚えていない。
僕は、ドラマでも映画でも、感動したことが無い。
もしかしたらあるかもしれないが、覚えていない。
ドラマも映画も、あまり観る気にならない。
自分から観ようと思わない。
「嘘だしなぁ…」と思ってしまう。
ドラマや映画は、実話をもとにした話やドキュメンタリーもあるが、
基本全部作り話である。
感動させようと必死に考え、伏線を張り、
存在しない人物を架空に作り上げ、嘘に嘘を重ねて作られている。
なかなか登場人物に感情移入できない。
役者がいくら素晴らしい演技をしているのを見ても、
この人たちは「はい、カット!OKです!」などという声がかかればこの世界から急に抜け出し、楽屋弁当がどうだとか、他の役者と週末にゴルフに行こうだとか話し始めるんだよな…などと思ってしまう。
嘘の話を見せられてもドキドキしないし、感動しない。
本当だから、「えぇ!そうなんだ!」と驚き、感心し、
本当の話だから心が動き、感動する。
こういうことを言うと、
「いや!嘘の作り話だって、感動するぞ!」
「俳優や脚本家を馬鹿にしているのか!」などと言ってしまう人がでてくるかもしれない。
あくまでも、僕が「嘘だしなぁ…」と思って観る気を無くしてしまうというだけのことで、
あなたの観た映画やドラマ、あなたの好きな役者を否定しているわけではないし、あなたの好きな役者や脚本家に実話をもとにしたものばかりをつくれと強制しているわけでもない。
自分は嘘の話で感動はしない、と言っているだけだ。
あなたは感動すればいい、僕は今までしなかった、ただそれだけ。
本も、小説は好きではない。エッセイばかり読んでいる。
エッセイは本当の話だからだ。
小説は、国語の教科書や受験の問題で読んだくらいで、
ほとんど読んだことがない。
僕のnoteを読んだ方が数名、
「小説を書いてみてほしい」とおっしゃってくださったが、
作り話で感動することができない僕には小説は書けない。
そう考えると、小学生の頃
ドラえもんやクレヨンしんちゃんや数本のドラマ・映画をよく観ていられたなぁと思う。
あの頃は、「嘘だしな..」とは思っていなかったかもしれない。
僕がドラマや映画に「嘘だし感動しないな..」と思うようになってしまったのは、
ドラマや映画から離れてしまったからなのかもしれない。
ドラマとか映画とか、母が観ていたものをもっといっしょに観ていればよかった。
お笑い番組は積極的に親子で観ていたし、
お笑いライブも母とよくいっしょに行っていた。
「漫才やコントも全部嘘で作り話だけど、それはいいのか?」
と気になる人がいるかもしれないが、
漫才やコントは、ボケの人やツッコミの人に感情移入するものではないと思うし、そんな真剣に見入るようなものでもない。
気軽に観て、ハハハと笑っていればいいだけなので、
嘘だからどうとか作り話だからどうとかは気にならないのだ。
そうして、
ドラマ・映画を観ず、小説を読まず、
母といっしょにお笑いだけを観て20歳まで生きてきてしまった。
僕はこれから何を観るのだろう。
何を観て何を知るのだろう。
急に漫画を好きになり、
ワンピースやドラゴンボールを全巻読み始めるかもしれない。
ドラマにハマり、
感動の最終回でボロボロ泣くかもしれない。
今まで通りバラエティだけを観てケラケラ笑っているだけかもしれないが、
多分そうはならないと思う。
何かのきっかけで、
ドラマか漫画か映画か、何かは観ることもあるだろう。
何か僕が気に入る作品があるだろうと思う。
何を観て、何を思うことになるのか。
今からとても楽しみだ。