「びしゃびしゃのブランデーケーキ」
「古典とケーキ」
この本を読んでブランデーケーキが作りたくなった。
古典の小説家や登場人物の世界観と重ね合わせて、筆者が作ったお菓子が出てくる。
面白い視点の読み物だ。
「おかん、ブランデーケーキ好きやわ。昔っぽいブランデーびしゃびしゃのやつ。」
昔、よく母が言っていたな。
たまに思い出すが作ってあげたことはない。
子供の頃、料理人の父がたまに持って帰ってきたブランデーケーキやウイスキーボンボン。(ちょっとエッチなチョコレートもあったな…)
絶対食べられないのに毎回必ず口に運ぶ。まずい。おえっ…。
今はそれを作る立場だ。人生とはおもしろい。
歳を重ねたせいか。
最新の洗練された焼菓子、ケーキにはあまり興味が向かず、どこか野暮ったく洗練されていない、かつノスタルジックな佇まいの菓子に惹かれる。
若い頃はフランス菓子以外は菓子じゃねえ!と本気で思っていた。
若くて視野が狭く余裕がない。
今ではパティスリーではなく老舗の菓子屋さんによく置いてあるブランデーケーキや丸い形のマドレーヌ、ぼてっとしたエクレアが…好きだ。
好きになっていた。
小学校1、2年の頃か、母と手をつないで電車に乗り不二家に行った。
おそらく1駅くらい先の近所なんだけど、ものすごく遠くのお菓子屋さんまで来た感じでワクワクだったな。
レモン風味のドーナツだったか。美味しかったな〜。
そんな何気ない日をなぜだか覚えている。
そんな母や父のことを思い出して作ってみようかな。
「びしゃびしゃのブランデーケーキ」