ストグラが今流行る理由 ――Vtuberと人狼勢から
※アーカイブ後追い勢のため、投稿日に対してすでに変化が起きているものなどがありますが、執筆当時(≠投稿日)の情報としてお読みください。
大盛り上がりのストグラ
現在、ストリーマー・Vtuber界隈で大盛り上がりのストグラ。つい先日1周年を迎えたところだが、なぜこの今になって盛り上がりを見せているのか、Vtuber(にじさんじ)目線と人狼勢目線の2視点から紐解いていこうと思う。
関係性オタク
noteでVtuberと言えば、とあるにじさんじファンのnoteが有名である。にじさんじ衰退論あらため、にじさんじ文化論。彼の主張には「にじさんじ箱内」と「ストリーマー」の関係性について触れていることが多々あり、このストグラのことを彼に語ってほしいのだが、2022年でnoteの更新をやめているので、それはかなわない。
関係性オタク(その昔は関係性萌えといったが、萌えは死語……)というジャンルがある。ある人とある人の関係性を好きになるまたはその関係性を互いにどう思っているかという心情を好きになるオタクのことだが、それを恋愛とすぐ結びつけるのであればカプ厨ともいえるだろう。そしてストグラには、そんな関係性オタクがぴったりはまる要素がある。まずストグラはRP(ロールプレイ)が原則で、ストグラの世界(ゲーム内地名からロスサントスと言い換えられる)での家族構成や恋愛・友人関係、はたまたライバル関係。そういうのがたっぷりつまっている。Apexの配信や大会がさながらApexサロンだと揶揄されていたが、まさにその上を行くのがストグラだと思う。
実況者界隈から人狼界隈へ
ストリーマーなどと呼ばれる以前、ゲーム実況動画を上げている人たちを「実況者」と呼び、ニコニコ動画をはじめ様々な場所に活動を広げ、メタいことを言えば、そういう人たちがVtuberになっていることも珍しくない。そしてこの実況者界隈では、グループを作ることも流行り、その中でイベントをしてみたり、グッズを作製してみたりといったことが行われていた。
数年前、「汝は人狼なりや?」通称人狼ゲームが人気を博し、オンラインゲーム化されたこともあり、多くの実況者が人狼ゲームを実況する「人狼勢」となった。人狼最大トーナメントの配信や、実況者界隈だけでなく、声優界隈でも声優人狼バトルDVDが出るほど、人狼ゲームは人気となった。しかし一方で、通常の人狼ゲームのルールでは1~2時間程度と時間がかかり、ワンナイト人狼など様々な工夫がされたが、定石が出始めるとやり続けた人が強くなっていき、全体的に下火になってきた。
Among Usの登場
そんな中、人狼勢が次に目を付けたのがAmong Usというゲームで、タスクと呼ばれるミニゲームをしながら同時に人狼ゲームが行われるという、今までの人狼ゲームの欠点である「会話だけで白黒を考えなければならない」から「行動精査」と呼ばれる移動経路やタスクの有無、長短などを要素として取れるようになった。
同じように雪山人狼と称されるProject Winterも一時流行したが、こちらは宇宙人狼とも言われ、現在でもいくつかの村(人狼の名残で、プレイ部屋のことを村と言っている)が定期的に立つ。私は元々先端恐怖症を村長とする先端村を見ていて、そのうち高田健志を村長とする高田村を見るようになった。
にじさんじARKサーバーの登場
2020年ににじさんじARKサーバーが設立した。ARKとは、オープンワールドで恐竜を使いながらサバイバルをするゲームで、グループ(トライブ)を作って勢力を広げ、グループ同士で対峙するなど、ライバー同士の関係性に注目が集まる企画であった。これもマップを変えて何度も行われた。
VCRの登場
2022年6月にVCRスト鯖RUSTが行われた。VCRとは、vaultroomとCRが共同主催するイベントで、RUSTはARKと似たようなオープンワールドでクラフトをしながらサバイバルするゲーム。そしてこのVCRによって、にじさんじ内だけでなく、他のVtuberやストリーマーと同じサーバーを介してゲームをプレイすることによって、さらに関係性が広がっていった。たとえば、アルスアルマル・k4sen・夜よいちの3人組もこの出会いであり、今や人気個人Vtuberとなった赤見かるびもここでいろいろ話題に上がったことによる伸びが大きい。
VCRスト鯖GTA
2023年7月にVCRスト鯖GTAが開催。GTAVは2013年から愛され続けているゲームであり、オンラインPvPモードがあるところが味噌で、ここに白羽の矢が立った。さらにARKやRUSTといったサバイバルではないことから、各々の役割を決めて、各々がやりたいようにやれることが、GTAの強みだった。これがARKやRUST以上に盛り上がった理由なのではないかと考える。どうしてもARKやRUSTだと事件を起こすことが必要で、そこで戦うことしか参加する方法はほとんどない。一方でGTAであれば、戦い以外にも、それを制するもの(警察官)、そこで傷ついた人を治すもの(救急隊)、日常に癒しを持たらすもの(猫カフェなど)など、明確に役割が分かれている。さらに言えば、そこにRPというスパイスが加わることによって、より没入感のある、そして関係性オタクにっこりの世界が生まれたのである。
さらに言えば、このVCRスト鯖GTAのサーバー運営・サポートを任されたのが、ストグラで既にその辺を培っているしょぼすけとまんさや、二十日ネルだった。この存在がまたストグラへの入り口となっていく。
ストグラの初期
時を戻して、ストグラはそもそも開始当初からVtuberが参加していたり、しょぼすけが品行崩壊(アモアスの村の一つ)であることもあり、アモアス勢も多く参加していた。その中でいったんロスサントスの世界に入ったはいいものの離れていくものもいた。一方で1年ずっといる人もおり、二十日ネル演じる二十日ネルや、まんさや演じる如月キャシーも長い人だ。
シャンクズことファン太の存在
そんな中で、VCRスト鯖GTAで遅れてやってきた爆弾といえば、ファン太だ。二十日ネルとまんさや2人のサポートに絡みに行き、それが人気となる。さらにそこから、二十日ネルに対して好意を持ったことから、ストグラロスサントスには「探している女がいる」という形で移住してくる形で、そのRPこそが四皇(しこー)シャンクズの姿になる。そしてそのシャンクズを取り巻く住民たちの関係性がまた良いものであり、餡ブレラに入るところも、さくまりる演じる空舞月りりとの恋も、見逃せない。
どちらも関係性を求めた結果
両方の視点を追っていくとわかるが、どちらも大人数の中で形成される関係性を求めることから、このストグラにたどり着いているように思える。つまり、今現在ストグラが流行っている理由は、視聴者が求めている「関係性」が最大限表現される場であること、そして配信者側の利点としてARKやRUSTと違って役割がはっきりしていることがあげられる。一方で、GTAのイメージから配信をしないと言っているライバーもいるが、それもそれで理解できる。
他界隈との絡み
中には他界隈との絡みをあまりよしとしないひともいるだろうが、ストグラはいわゆるストリーマー以外にも、歌手や声優なども混ざり、そこで化学変化が起きている。ここで紹介し切れなかった人たちの関係性もとても面白いので、ぜひ見ていただきたい。
P.S.なぜこの視点なのか
この2つの視点から記事を書いた理由は、何か理論的なものがあるわけでは無くて、自分のストグラの入り口はVtuber→ファン太で、ストグラを調べていくと、「あれ?これってアモアス勢じゃね?知ってる名前がたくさんいる!」となって、そこから辿っていったためである。たまたま自分がアモアスも好きで、Vtuberも好きだったことからこの2視点にしたまでなので、そこはご理解とご了承をいただけるとありがたいです。