江戸時代にコロナと酷似した状況があったのに
猛威を奮ったコロナも未まだ衰えをみせない現状ですが、人間(特に日本人)の辛抱強さが、
少しづつですが底力を見せてきているのではないかと思っています。
でも不思議に思うのは、この我慢強い日本人のメンタルがいつ頃から形成されてきたのか
を考えて文献を調べていく内に、100年前に世界で猛威を奮ったスペイン風邪よりも更に
昔に日本中で大流行をした「麻疹(ましん)」との長きにわたる闘いに何か要因があるのでは
ないか?そしてその経験から生み出された知恵について、医療を扱った落語や小噺から
探ってみようという、今までにない壮大なテーマで今回はお送りしたいと思っております。
ではます、江戸時代に猛威をふるった「麻疹」について話しをさせていただきます。
〜猛威を奮った「麻疹」江戸を蹂躙する〜
「麻疹」を辞書で調べてみるとまず最初に「ハシカ」という言葉が出てきます。
医学的に書くと、麻疹ウィルスの感染によっておこる急性の感染症です。
ウィルスに感染すると、風邪の症状を一通り起こし、高熱と発疹を起こした後に免疫力が
低下して肺炎、中耳炎、脳炎をおこす大変に怖い病気です。
現代のような高等医療がなかった江戸時代には、江戸年間300年の間に14回流行になり、
多くの感染者をうみ、多くの方が亡くなりました。そして現在でも、発症した場合の
特効薬はなく、解熱、発疹を抑える薬の服用後治るのを待つしかないという実に恐ろしい
流行り病でした。
感染経路もコロナによく似ていて、通常時からの清潔な生活習慣を守るぐらいしか方法が
見当たりませんでした。
この様子は大ヒットしたドラマ「JINー仁ー」でも描かれていましたね。
麻疹は大衆の生活にも大きな影響を与えて、麻疹をネタにした戯作、謎々集、百人一首、
養生書などが氾濫した容姿もコロナ禍の様子と酷似していました。
また麻疹薬と称して怪しげな薬が売り出されたり、寺社では麻疹除けのお札を売り出し、
麻疹に良いとされた食品は投機の対象になり値を上げて、反対に麻疹に良くないとされた
遊郭、蕎麦屋、魚屋、八百屋、風呂屋、床屋などが失業状態となり経済的混乱を
引き起こしました。
またこれを機に儲けたお金や人ことを「はしか銭」「はしか長者」とよんで忌み嫌われた
とも言われています。
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