聞きたいことはなんですか?【3話】
鈴木「佐藤くん。」
佐藤「鈴木さん。」
鈴木「今日も…。」
佐藤「勉強するために居残り中。そんな挨拶の定型文みたいにしなくていいから。」
鈴木「そう?私と佐藤くんの暗号みたいで結構気に入ってたんだけど。」
佐藤「それで、今日もなんか聞きたいことがあるのか。」
鈴木「聞きたいことがある訳じゃないけど、お願いがあるの。」
佐藤「とか言って油断させて爆弾落とす気なんだろ。」
鈴木「爆弾なんか落とさないよ。今まで佐藤くんを困らせたことあった?」
佐藤「困らせたことしかないんじゃ…。」
鈴木「もう、いいから聞いてよ。」
佐藤「なんだよ。」
鈴木「私とデートして。」
佐藤「は?」
鈴木「私とデートして。」
佐藤「いやいやいやいや。爆弾通り越して意味分かんないから。」
鈴木「意味分かんなくないよ。あれから考えたの。佐藤くんに告白されたら私は付き合えるのかなって。でも答えが出ないから、恋人っぽいことをして確かめたいの。」
佐藤「それでもし、やっぱり付き合えないってなったら告白もしてないのに俺は振られるのか。」
鈴木「それは…その…。」
佐藤「考えてなかった、とでも言うつもりか?」
鈴木「…。」
佐藤「さすがにそれは俺も傷付く。」
鈴木「ごめん。」
佐藤「…。」
鈴木「ねぇ。それじゃあ、私と遊びに行くのはどう?」
佐藤「お前なぁ。」
鈴木「違う、違うの。本当に遊びに行きたくて。」
佐藤「自分を好きかもしれない相手を誘って平常心でいられるなら、恋愛対象ではないだろ。」
鈴木「どうして私が平常心だと思うの?」
佐藤「え?」
鈴木「次の土曜日。11時に駅前に集合ね。」
佐藤「ちょっと待って。鈴木さん。」
鈴木「映画、見に行こう。じゃあ。待ってるから。」
佐藤「訳分かんねぇよ。」