聞きたいことはなんですか?【5話】
佐藤「鈴木さん。」
鈴木「何?」
佐藤「来てくれてありがとう。」
鈴木「別に。忘れ物取りに来ただけだし。」
佐藤「あ、あのさ。今日はちゃんと謝りたくて。」
鈴木「いいよ、もう。終わったことだし。」
佐藤「終わったとか言うなよ。」
鈴木「じゃあ、どうすればいいのよ。」
佐藤「これ。」
鈴木「…映画のチケット。」
佐藤「今度の日曜日、俺とデートしてくれないか。」
鈴木「お試しデートってこと?」
佐藤「違う!」
鈴木「じゃあ何?仲直りの口実?」
佐藤「違うってば。」
鈴木「じゃあ何なの。」
佐藤「俺が鈴木さんと一緒に行きたいんだ。」
鈴木「どうして?」
佐藤「俺が、鈴木さんを、好きだから。」
鈴木「だから、それはただの噂だって。」
佐藤「俺が噂だって否定したことあったか。」
鈴木「でも、あんまり乗り気じゃなさそうだったじゃん。」
佐藤「そりゃ、ぐいぐい来るのに好きかどうか分かんないって態度取られたら身構えるだろ。」
鈴木「でも佐藤くんはこういうのが好きだって。」
佐藤「誰から聞いたんだよ。」
鈴木「クラスの男子と話してたでしょ。」
佐藤「はぁ?いや、それは二次元のお話で、漫画のヒロインだろ。」
鈴木「でも、現実にいたら喜ぶんじゃないの?」
佐藤「俺が漫画の主人公だったらな。」
鈴木「じゃあ、私が間違えたんだね。」
佐藤「俺も間違えたよ。ちゃんとあの日は行けないって言うべきだった。」
鈴木「お互い様だね。」
佐藤「ああ。お互い様だ。」
鈴木「手紙、ありがとう。」
佐藤「来てくれてありがとう。」
鈴木「ねぇ、佐藤くんに聞きたいことがあるの。」
佐藤「なんだよ、改まって。」
鈴木「佐藤くんが私のこと好きって、ほんと?」
佐藤「ああ。もちろんだよ。」