最もカンタンに作れるゲーム選手権
今回は、とにかく簡単に作ることができるゲームをランキング形式で紹介します。しっかりとゲームを作り込んでいると、ストレスが溜まったりするので、たまにはこういったお手軽なゲームを作ってみると、気晴らしになって良いかもしれません。
なお、ランキングの判定は、個人的な主観による「作りやすさ」と「面白くなりやすさ」を基準にしております。
■第5位:クイズゲーム
まず紹介するのは「クイズゲーム」です。クイズゲームは問題文とそれに対応する答えを用意して、正解・ハズレ判定をするだけで実装できます。以下はHSPスクリプトで実装したコードです。
pos 30, 30
mes "世界で最も売れたゲームは?"
pos 30, 60
objsize 160, 32
button goto "スーパーマリオブラザーズ", *incorrect
button "テトリス", *correct
button "マインクラフト", *incorrect
stop
*correct
dialog "正解!"
stop
*incorrect
dialog "不正解…"
stop
このように、ベタ書きで実装するのであれば、とても簡単で実装難易度はかなり低いです(サンプルは15分で作りました)。しかし、問題点として、一度答えがわかってしまうと、2回目以降は考える要素がなくなってしまうことです。
そのため、本格的なクイズゲームを作るには、大量の問題数が必要となり、それを管理する仕組みも必要となります。
ただ、そこまでいかなくても、クイズはゲームの要素として使い勝手がよく、
* 脱出ゲームでの謎解きの1つ
* ちょっとしたミニゲーム
などとして使うことができます。
例えば、ペルソナ5では授業をクイズ形式で受け答えして、正解するとプレイヤーのパラメータが上昇します。また、恋愛シミュレーションゲームにおいても、会話の受け答えを選択肢から選ぶのもある意味クイズです。
推理アドベンチャーゲームの犯人当てや、古くはゲームブックでの選択肢もある意味クイズを複雑にしたものと考えられます。
クイズゲームの作成時間:15分
制作ツール:HSP
■第4位:数当てゲーム
続いては、プログラムを始めて最初に作る題材としてもよく選ばれる「数当てゲーム」。プログラムコードとしては以下のように数行で書けてしまいます。
int rnd = random(10); // 乱数で 0〜9 を抽選
int ret = input("数値を入力してください"); // プレイヤーからの数値受け取り
if(ret == rnd) {
// 正解
}
else {
// 外れ
}
random(10) が 10 を含むかどうかで少し悩む可能がありますが、基本的にはとても簡単に作れます。
このサンプルゲーム「RGB検定」は、画面に表示された色をRGB値で当てるというものです。ランダムで決まった値を当てるゲームですが、直接数値を入力するのは難しすぎるので選択式にしました。
作るのが難しいのは「ヒント」の出し方です。色のようにある程度推測できるものであれば良いですが、うまくヒントが出せないと、勘で正解を当てる運ゲーになってしまいます。そのあたりの難しさを考慮して、第4位としました。
RGB検定の作成時間:6時間
制作ツール:HaxeFlixel
■第3位:間違い探しゲーム
古くは新聞や雑誌に載っていた、2つのイラストを比較して間違った部分を探すゲームでした。そして「ウォーリーを探せ!」のブームにより、1枚のイラストから、その中にある異質なものを探すゲームが新たに生まれた……、のかもしれない。
間違い探しは簡単に作れてインパクトも強く、面白いゲームジャンルなのですが、バリエーションが広がりにくく、ある程度遊ぶと底が見えやすい単調なゲームになりがちです。もしくは長く楽しませるために難易度を上げると「人間には判定できないゲーム」となってストレスがたまったりします。
ということで、一発ネタとしては強烈なパワーを持っていますが、面白さを発展することが難しいため、第3位としました。
漢字探しゲームの作成時間:40分
作成ツール:GameMaker:Studio2
■第2位:避けゲーム・キャッチゲーム
プレイヤーに対して迫ってくるオブジェクトを避けたり、キャッチするゲームです。古くはファミコンの「忍者ハットリくん」で "ちくわ" を回収するゲームが代表的かな、と思いました。ブロック崩しもある意味ボールをキャッチするゲームかもしれません。
よくあるパターンとしては、「プレイヤーは左右移動のみ」「画面上部からキャッチするオブジェクトが降ってくる」というルールです。
降ってくるオブジェクトの動きやアイテムを獲得した時に発生する効果(プレイヤーがスピードアップする、一定時間行動不能になる、など)で、ゲームのバリエーションを広げることが容易なので、第2位としました。
面白くするコツはキャッチするオブジェクトに取ってはいけないアイテムをこっそり混ぜることですね。
シューティングゲームから弾を撃つ要素を取り除いたゲームで、弾幕を避けるバトルのシステムを採用している「UNDERTALE」も避けゲームの分類に入りそうな気がします。
キャッチゲームの作成時間:60分
制作ツール:GameMaker:Studio2
◾️第1位:タイミングゲーム
第1位はタイミングゲームです。作りやすさとゲームの面白さのコスパが圧倒的! システムとしては、何かの動き続けているオブジェクトに対して、ユーザが入力をすると、それに対して何らかのアクションをできるゲームとなります。たいてい入力は1つのボタンなので、キャッチゲームよりも操作はシンプルです。
サンプルゲームは、タイミングを取る要素に加えて「物理エンジン」を使っています。Unity であれば物理エンジンが簡単に使えるので、こういった「物理エンジンを使った積み上げ系落下ゲーム」というのも、作りやすくおすすめのジャンルです。(例:つみネコ、どうぶつタワーバトル)
タイミングゲームの基本的な考えとしては、1次元の軸で動くオブジェクトをタイミングよく押して狙い撃つ、というゲーム性にある気がします。
このような1次元で移動するカーソルをタイミングよく押すシステムは、「ゴルフゲーム」「ダーツ」「射撃」「釣りゲーム」「ビリヤード」などスポーツ系のカジュアルなゲームによく採用されますね。
お手軽ですが、とても熱くなれる良いシステムです。
画面内を動き回るオブジェクトをクリックするゲームも、広い意味ではオブジェクトが2次元で動くタイミングゲームといえるかもしれません。
また、バイトヘル2000での「薪割り」や「ボールペン工場」「ひよこ鑑定」のような「単純な選択を高速・連続でさせる」ゲームもタイミングゲームに該当するかもしれません。これらは基本的には単純な操作による作業ゲーなのですが、時間制限が入る(バイトヘル2000の場合はゲーム自体が苦痛なので、短期間で効率よく稼ぎたくなる)ことで、反射神経の限界を超えて高速で処理するのが快感となっていきます。(テトリスの20Gモードなど)
この手のタイミングゲームでの最も人気のジャンルは、音楽に合わせてボタンを押す(タップする)リズムゲームですね。音楽に合わせてボタンを押すゲーム性は、独特の心地よさを生み出してくれます。ただ、ガチのリズムゲームを作る場合、楽曲と譜面データの作成、音楽との同期などが結構大変ですが……。
おもち落下ゲームの作成時間:4時間
制作ツール:Unity
■参考になるゲーム
スマートフォンのゲームはシンプルに楽しめるゲームが多いので、アプリランキングなどを調べてみて、作ったみたいゲームを探してみるのも良いと思います。
あと、この手のゲームを作るのに参考になるのが「バイトヘル2000」。
遊ぶには、PSPまたは PS Vita が必要となりますが、色々と間違った方向に作り込まれた40本のミニゲームを遊べるため、ミニマムなゲームを作るための資料としてかなり優秀だと考えています。また、どうでも良い内容のゲームをクオリティの高いパロディのセンスで作ったバカゲーの頂点と言えるゲームかもしれません。
普通のミニゲームを作るのであれば、マリオパーティやメイドインワリオあたりの定番を参考にすると良いですね。あとは、DSで出ていた「G.G シリーズコレクション」。16本のミニゲームがあって当たり外れは大きいですが、アクションゲームがなかなかよくできています。3DSを持っていれば「ナゾのミニゲーム ちょいがえ」「棒人間チャレンジ!」などもおすすめです。
ファミコン時代のレトロゲームなんかも、ゲームシステムがシンプルで参考にしやすいです。
こういったミニゲームのシステムを考えるコツは、既存のゲームの一部分を切り出したり、要素を削除して再構築すると、新しいゲームが生まれる可能性があります。
例えば、
「ジャンプアクションゲームからジャンプを無くしてみたらどうなるか」
「シューティングで弾を撃てなくしたらどうなるか」
「ブロックが落下しない落ちものゲームにしたらどうなるか」
などなど……。(これらのゲームはすでにありそうですけれども)
また既存のゲームシステムに新しい題材を組み合わせてみると一味変わった面白さが得られるゲームが生まれる可能性があります。例えば、単なる物理シミュレーターだけれども、主人公がヤギでやりたい放題暴れる、というゲームが一時期とても流行りました。
◾️選考ミスについて
ここまで書いて気がついたのですが、この手のゲームで最も力を発揮するジャンルを失念しておりました。大変申し訳ありません。
そのゲームとは「連打ゲーム」です。
古くはハイパーオリンピックで採用されていたゲームシステムで、仕組みは非常にシンプル。ボタンを早く連打するほど、キャラクター性能が向上し、高得点を得られるゲームであります。
このゲームの何が素晴らしいのかというと、一生懸命にボタンを連打する姿はとても健気で、周りでそれを見ている人たちを、ほっこりした気持ちにさせてくれるからです。
ルールとしては以下のものが考えられます。
* 時間制限以内に、ボタンをどれだけの回数押せたのかを競う、トータルで評価するタイプ
* 直近の数秒間の平均連打回数で決まる、アベレージ(持続時間)での評価タイプ
ただこれだけだと単調なゲームとなるので、タイミングゲームと組み合わせて作られることが多い気がします。
またプレイ後の疲労感が半端無く、何度もプレイさせると苦痛を与えることが容易にできてしまうため、繰り返し遊ばせるのではなく、ここぞというタイミングで発生するミニゲームとした方が良さそうです。
■関連する記事
もう少しちゃんとした(?)ゲームを作りたい場合は、こちらの記事が参考になるかもしれません。
今回の記事は、こちらに書いた「芸人」タイプのゲーム作家さんが得意とするジャンルだと思います。いわゆるバカゲー、ネタゲーに使いやすいです。
既存の常識にとらわれない発想の柔軟さが求められるゲームジャンルですね。
この記事に書いたようなゲームを量産して開発力を上げるには、 Game A Week に挑戦するのもありかもしれません。ただ初心者にはオススメできませんが……。