アメリカンペイオリット コミヤの血統診断
今年から産駒がデビューしたアメリカンペイオリット産駒。実は芝でかなりおいしい産駒であるのではないかと半年ほど見てきて思いました。もうすでに重賞で結果を残してしまっているので、妙味がなくなるかもしれませんが「種牡馬のクセ」を覚えておけば役立つこと間違いなしです。アメリカンペイオリット産駒の「クセ」を見ていきましょう。
血統背景
父 War Front(Danzig系)
母父Tiznow(In Reality系)
父母父Rubiano(Fappiano系)
母母父Notebook(Bold Ruler系)
主なクロス
Moon Glitter、Relaunch 5 x 4
Seattle Slew 5 x 5
スピードタイプの血統が多いものの、War Frontが入っていることで少し距離も伸びて1400mがベストになっているような血統です。逆に1800m以上となると、母父サンデー系など母系の力を借りなければならないでしょう。父系はマイル、母父は1200m以下と考えるとやはり1400mがベストなパワータイプと言って差支えないと思います。さらにRelaunchのクロスがかかっていると考えると、早い時期から活躍する傾向にあるので、若駒のアメリカンペイオリット産駒が一番よさそうな印象を受けます。ある程度の歳(5歳くらい)まで行くとガクッと成績は落ちそうです。
結構な米国系が強いので、スピードと同時にパワーも強そうで、冬になるほど活躍馬が増えそうな傾向もあるのではないでしょうか。特に冬の中山&阪神開催はアメリカンペイオリット産駒にとって稼ぎ時といえるでしょう。実際どうなのかは追って説明していきたいと思います。
そしてポイントになりそうなのが性別で、牡馬は見た限り重たい産駒が多いので身軽に動けないパワータイプが多い印象。そうなると牡馬はほとんどダートでしか成績を残せない産駒が多くなると考えることができます。一方で、牝馬は牡馬に比べて馬体重が軽い傾向にあるので、比較的芝でも走りやすいかなという印象です。これはミッキーアイル産駒にも出ていることですが、やはり牝馬のほうが芝で走りやすい印象を受けます。
距離適性:(1200)1400m~1600m
まずは距離適性から見ていきましょう。血統背景からわかる通り距離適性は短距離が中心になりそうです。ポイントになるのは母父In Reality系で、新潟芝1000mのレコードホルダーカルストンライトオを生み出した系統(カルストンライトオの父はウォーニング)からもスピード優勢の因子を持っていることがわかるでしょう。ただ、それもやや薄まって父War Frontが優勢に出ていると考えると1400m~1600mが一番のスイートスポットになると考えられると思います。11月までの戦績を見ても芝1400m~1600mは(2‐ 4- 2- 11/19)で複勝率42.1%に上昇していることからもこの1400m~1600mが一番得意な距離帯であると言えるでしょう。
距離の上限は今のところ微妙ですが、1800mは一回も馬券になっていないこと、2000mも先週初めて馬券になったことを考えるとまだまだ未知数。それだけにTサンデー系が母父に入っているだけで距離適性は少し変わりそうなイメージです。逆に言えば芝中距離で活躍していない馬が母父であればほぼ100%1400m~1600mの馬になると考えていいでしょう。
得意コース:阪神、左回りなどパワーコース
アメリカ産種牡馬の特徴である形を踏襲している感じですね。アメリカは左回りが多いので走りやすいのは期待通りの活躍で、中京や東京でも複勝率30%あたりなので、堅実に走っている印象です。基本的には左回りが得意な感じがしています。特に人気していない馬が絡むことが多く、複勝率20%前後でも回収率は100%を超えているので穴馬の台頭は左回りが多い印象を受けます。
一方で今一番得意なのは阪神。先週行われた京都2歳Sで2着になったビーアストニッシドが9人気で2着になっているように、穴馬の台頭が多いです。阪神の内回りコース、特に非根幹距離はパワーが重視されるだけにこの種牡馬のパワーが十二分に発揮されている傾向だと考えても良いでしょう。阪神芝1400mでは2戦して1着と2着のみ。見かけたら買うでもよさそうです。
ダート:苦手
ダートはそこまでうまくない印象です。ここまで良くないイメージです。アメリカ系というこもあって、ダートでは人気するイメージがあります。ここまで18回出走して平均人気は4.8人気ととにかく人気になっていますが平均着順は7.2着とかなり人気を裏切っている印象があります。ダート1400mは特に苦手で、3着が一回あるのみ。あまり狙える印象はありません。
ダートで狙いやすいのは1800m以上が有利になっています。1800mは6戦して複勝率は50%。他は平均着順が7着以下であるのに対して1800mは5.3着。急坂のある阪神競馬場では人気になっても裏切らない印象にあります。冬は良馬場での開催が多くなる傾向にあるので、ダートの1800mでの活躍は増えそうな印象にあります。良馬場が得意なのは芝馬によく見られる傾向がですので、やはりこの種牡馬は芝馬であると考えたほうが良いかもしれません。ダート血統が芝でも走るのではなく、「芝血統ながらダートもこなせる産駒もいる」と前提を置いとくのがいいでしょう。
間隔:中3週~中4週、休み明け〇
アメリカ種牡馬らしく短期の使い込みには強い傾向にあります。中でも4週位開けるのが一番ベストな条件ではないでしょうか。ヘニーヒューズ産駒にも見られることですが、適度な間隔の使い込みと休み明けが得意なのは米国ノーザンダンサー系の基本的な考え方といえるかもしれません。
ただ、これはまだ母数が圧倒的に少ない状況ですので、1か月程度の適度な間隔で出走してくる馬と休み明けで出走してくる馬を中心になるのではないでしょうか。
得意時期:冬
パワーがもっとも活きるシチュエーションは冬の力のいる馬場。Dコースを使用する東京競馬場の2月開催はトニービン系が特に強い傾向を示すことがありますが、この馬にもそれに近い「冬芝のアメリカンペイオリット産駒」という格言が生まれるのも時間の問題と言えそうです。産駒がデビューした6月以降、6月は出走頭数が少なく度外視すると10月右11月と徐々に成績を挙げてきていることから冬芝は本当に得意であることがわかります。冬は芝が枯れて余計にパワーがいる馬場であることに加えてほとんど良馬場での施行となっているので、これからの季節は注意が必要です。
10月からの成績は芝だけで[2- 5- 3- 21]となっており、複勝率は30%を超えています。これは今後も上向いていくものだと思いますので、今後に期待です。なお、芝を出走した馬の複勝を買い続けても100%を超えているのはそれだけまだ「ダート血統である」と考えられる証拠でしょうね。
前走:距離短縮or同距離
ここは普通の種牡馬とほとんど変わらないですね。この産駒の特徴としてはマイル以上から1400mに短縮した馬は2勝を挙げているというところ。それ以外の短縮は決まっていません。これは極端なデータであるとおもいますのでそこまで心配する必要もないかと思いますが、それでも1400mへの短縮を見かけた場合は馬券に入れるだけでかなり変わると思います。
基本的に極端な距離変更はストレスになる馬が多い印象をうけますので、距離を徐々に使っていくのが吉。極端な変更をする馬は割引を。
最後に・・・
まとめるとこんな感じです。
・パワー系で芝は牝馬が多く活躍
・パワーを活かせる非根幹距離、1400mが得意
・中距離適性は母父に依存
・ダートは苦手、狙うなら1800m
・中1か月か休み明けが得意
・極端な距離変更は苦手
・冬に活躍するタイプ
まだまだ世の中では「アメリカンペイオリット産駒はダート血統」と考えている人が多いからこそ妙味が生まれる産駒と言えます。来年にファルコンSやフィリーズレビューを勝ってしまうと芝馬の印象が付く可能性があるので、それまでにもうけを出しておくのが良いでしょう。
参考になりましたでしょうか?参考になれば幸いです。ここまでご覧いただきありがとうございました。
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