【自分にフィットするこだわりの“モノ”たち】キーボード
正直、このキーボードの話がしたくて、そしてこのキーボードで執筆がしたくてnoteを始めたと言って過言ではない。
と言うわけで、最近わたしを夢中にさせて止まないキーボード「NiZ ATOM 66」の話をしよう。
購入の経緯
わたしが小説を書き始めたのは小学生の頃だが、高校あたりから大学受験などの忙しさに押され、すっかりまともな執筆活動から遠のいていた。
そして大人になりフリーランスになったことで余裕が生まれ、一昨年から本格的な執筆活動を再開した。
それまでわたしはMac付属のキーボードを使用しており、それが壊れて使えなくなると、似たようなタイプのキーボードに変更。
通常のパソコンの利用や、デザイン業務をするのにはそれで全く問題がなかったのだが、長時間小説の執筆をしていると、指先のキーボードに触れている部分が痛くなるようになってきた。
というのも、Mac標準のキーボードと言うのは、キーを押し込むストロークが極端に短く、ほぼほぼ硬い鉄板を指先で何度も叩いているような状態になる。これが原因であることは明らかであった。
これは指先に優しいキーボードに乗り換えるべきだろうと調べ始め、何も知らない状態から、キーボードの深い深い世界を覗き込むことになる。
わたしが新たなキーボードに求めた条件はこちら
Macで使えること
60%サイズ(詳しくは後述)
方式はメカニカル。もしくは静電容量無節点方式(詳しくは後述)
押し込み荷重が軽いこと
タイピング音がいいこと(かちゃかちゃ言わないもの。特に低音が好み)
カーソルキーが存在すること
右端にバックスペースキーが位置していること
英語配列であること
Bluetooth接続できること
と、これは外せないというこだわりがたくさんあり、吟味に吟味を重ねて辿り着いたのが、購入に至った「NiZ ATOM 66」なのである。
キーボード基礎知識
どういった方がこの記事を読んでいるかわからないのだが、一応キーボードの基礎知識も記載しておく。
●サイズ
キーボードにはさまざまなサイズのものが存在している。代表的なものは以下。ここではわたしの偏見を交えながら紹介。
フルサイズキーボード:ごく一般的なキーボード。右端にテンキーがあり、その左にはカーソルキーとHOME、ENDなどのキーが存在し、その左にアルファベットや記号キーが並ぶ。全てのキーが物理的に存在するのでわかりやすい反面、かなりの大きさなのでデスクを圧迫し、一般的な日本語をタイピングするエリアが左に寄ってしまうので体が捩れる。また、マウスも右側に追いやられる形になる。
テンキーレス:フルサイズキーボードから、テンキー部分だけをなくしたもの。テンキーは使わないが、ほとんどのキーは物理的なキーが欲しいという方はこれ。当然のことながらその分小さくなるが、依然として体の軸は左に捩れる。
80%キーボード:テンキーレスよりさらにコンパクトになる工夫がされ、カーソルキーがアルファベットや記号キーが並ぶ部分に食い込むようになっているものが多い。Fキーは物理キーとして存在する。体の捩れはほとんど解消される。
60%キーボード:70%キーボードからさらにFキーが消え、さまざまなキーをFnキーとのコンビネーションで使用する事になる。カーソルキーさえ物理的には消えるものが多い。体の捩れは解消される。
40%キーボード:60%キーボードからさらに数字行さえ消失する。かなり小さくなるので見た目が可愛い。さらに30%キーボードなど、ますます小さくなっていくものも存在する。
●スイッチの方式
キーボードには大まかに分けて三つの方式が使用されている。(にわかの知識なのでミスがあるかもしれません)
メンブレン方式:さまざまな方式があり一概には言えないが、安価なキーボードはほとんどこれ。Macのキーボードもこれ。全てのスイッチが一体化している
メカニカル方式:それぞれのキーが独立したスイッチを持ち、深めのストロークを確保しているものが多い。いわゆる一般的なキーボードを思い浮かべたらこれ。さまざまな打鍵感、打鍵音のものが存在する。
静電容量無節点方式:電極が接触しない「無接点構造」を採用しており、部品同士が触れ合わないので耐久性が高い。メカニカルに似て深めのストロークがあり、「スコスコ」と形容される独特の打鍵感がある。
比較検討したキーボードたち
本当に様々なキーボードを比較検討したのだが、ここではかなり悩んだものをピックアップ。
●HHKB
「天下のHHKB」と言われる、とても高級で有名なキーボード。静電容量無節点方式の代名詞。HHKB最高と言っている方が多く存在する。安心安全の日本のブランドで、ブランド力が高く、YOUTUBEでおしゃれなデスクを公開している人のデスクの上には大体こいつがいる(偏見)
とても悩んだのだが、わたしは英語配列がよく、英語配列にはカーソルキーが(物理的には)存在しないので、選択肢から外れた。デザイナーにカーソルキーなしキーボードは無謀。
●Keychron K6
これもとても有名な香港のメーカー。メカニカル方式でスイッチの軸を選択することで、様々な打鍵感と打鍵音を得られる。かなりしっかりとMacに対応してくれているとこも魅力。こちらもかなり評判がいい、しっかりした作りのキーボード。正直今も欲しい。
本当に迷ったのだが、バックスペースの右横に一列キーがあるのが邪魔そうだなーと思って選択肢から外れた(咄嗟に何かを消したい時、右端にバックスペースがないとミスタッチしてしまうので)
●FILCO Majestouch MINILA-R
これもとても悩んだ。FILCOのリストレストを購入したら、とても良かったのでブランドへの信頼感が増し、正直今でも欲しい。安心安全の日本メーカーで評判は高い。DIPスイッチという物理的なスイッチを操作することで色々設定を変更でき、右下に物理的なカーソルキーを出現させる事も可能。
カーソルキーが存在するのは良かったのだが、そのカーソルキーを設定すると、なんと今度は「?」キーが消失する。カーソルキーも使うが、かといって「?」も「・」もとてもよく使うので、そのどっちかの選択は厳しかった。というわけで選択肢から消えた。
「NiZ ATOM 66」のいいところ
●打鍵感、打鍵音
上記で記述していたように、様々なことを比較検討して購入に至ったわけだが、「一番の購入の決め手」はこれに尽きる。もちろん家電量販店に置いてあるものではないので実機では確かめることはできなかったのだが。
キーボード界隈にとって、「打鍵音」というのは非常に大切なもので、キーボードを扱っている動画では必ず打鍵音を紹介してくれる。キーボードは打楽器だと言っている人もいた。「2万円のキーボードを買うのではない。2万円の打楽器を購入したのだ」と。
私はありとあらゆるキーボードの打鍵音を様々な動画で聴き比べた。
結果、最も良いと世間で言われている「HHKB」より、わたしにとっては「NiZ」の方が良い音だったのだ。これは大きな驚きだった。
わたしのお気に入りの、様々な打鍵音を聞かせてくれる動画を紹介するので、まずはこれを聞いて「自分はどんな打鍵音が好みなのか」という好みを把握するところから初めてみて欲しい。
私の大好きなNiZ66の打鍵音はこちら。
「かちゃかちゃ」という耳にさわる高音が一切ないのがお分かり頂けるだろうか。机や使用するキーキャップによっても変わっていくのだが、わたしの環境のものだともう少し「コトコト」という、優しくまな板の上で何かを切っているような音が目立つ。
とにかくキーボードで何かを打っていたくなる使用感である。
●カスタマイズ無限
正直このキーボードを手に入れるまできちんと把握していなかったのだが、世の中の「自作キーボード」と言われるキーボードや、上であげた高級キーボードなどは、それぞれキーマップを変更できるものが多い。
つまり「A」というキーを押したときに「D」と表示させることができたりする。
それがなんの役に立つのだ、とお思いの方もいるかもしれないが、あなたは一度たりとも思ったことはない、と言い切れるだろうか。
「なぜ一番打ちやすいホームポジションの人差し指担当がJとFなんだよ」と。
「J」と「F」って日本語入力でそんなに使います……? その割に一番使用する「A」を、なぜ我々は動かしにくい左手の小指で打たねばならないのか。
もともとは英語を入力するためのタイプライターを原型にして、今のキーボード配列というものは出来上がっている。日本語をローマ字入力することなんて微塵も考慮されていないキーボードを、我々は日夜ありがたがって打ち続けているのだ。
腱鞘炎になるのも当然である。
例えばわたしは今このような配列で打鍵している。お手元にあるキーボードと比較してもらえれば、かなり変更を加えているのがわかるだろう。
指がほとんどホームーポジションから動くことなく、無理な指な曲げ方、伸ばし方をしなくとも日本語入力ができるようにしてある。これもまだ発展途上だが、配列のこだわりについてはまた別の記事にしようと思う。
さて、そのキーマップ変更だが、ウィンドウズさえ手元にあれば(キーマップ変更するソフト自体はMac非対応。変更さえしてしまえばMacでもiPadでも使用できる)、専用のソフトで簡単にキーマップを変更することができる。
HHKBなども可能なのだが、HHKBはFnのキーは変更できなかったりする。その点、Nizは全てのキーを変更することができる。
●Bluetooth接続
Bluetoothで使用できるキーボードは多い。ただわたしは初めて手に入れた。Bluetoothの接続先は3台まで。ケーブル接続と併用すれば4台の機器と接続を切り替えることができる。
これが本当に便利だった。
切り替えもスムーズで切り替えた瞬間に使用できるし、接続もとても安定している。遅延も感じない。
パソコンで作業していて、スマホに何か通知がきたら、そのままスマホに接続先を変えて使用し、またパソコン作業に戻るということができる。
便利。
わたしのライフスタイル
わたしの生活のほとんどはパソコンの前だ。
仕事をするにしろ、小説を執筆するにしろ、趣味のことをするにしろ、全てにおいてパソコンがいる。そしてもっとも触っているのは間違いなくキーボードである。
そのキーボードに触れるたび、そしてキーを押し込むたび、わたしは小さな心地良さを覚え、まだ打鍵がしたいと感じている。
仕事がしたくなる、文章が書きたくなる。相棒とする道具として、それ以上に最高なものはない。
キーボードの世界は本当に広い。キーボードのことを知り、わたしはまた一つ、楽しいものを手に入れたと思っている。
この記事で、ほんの少しでもキーボードに目を向けてもらえれば幸いだ。