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早稲田・文化構想という、感想文だけで卒業できてしまう学部

社会学が自由になっている。
漫画・アニメ・ゲームなど扱うテーマは何でも研究対象になる。

会社の同期は早稲田大学文化構想学部出身で、大学在学中はずっとアニメに浸かっていた。
生まれながらにオタクな彼からすると、天国のような環境だったに違いない。
卒業認定書を提出するとき、そこに並ぶ「漫画論」「アニメ論」「現代メディア論」「人形メディア」などなどの講義名に、国公立出身の人事が面食らっていた。
彼は照れたように笑っていた。

・澁谷知美「日本の包茎」を読んで

すごく文化構想学部っぽい研究だなと思った。
ひとことでいうと、キャッチーで目を惹く研究。

本研究の出典は「平凡パンチ」「週刊プレイボーイ」「ホットドッグ・プレス」「ポパイ」「スコラ」等大衆向けの雑誌で構成されている。

このような文献が引用されている。
私の彼って、仮性包茎なのよね。だからセックスは一応ふつうにできるんだけど、なんか物足りないんだなア。ぐーんとこっちを感じさせてくれるものがないのよ
文献があるからといって、それを全て真実だと捉えるのは、「そもそも」おかしいと思う。現代でもこのような言葉は誌面を構成するが、我々読者だってこれらは話半分に聞いている。
当時の読者もそうだったのではないか。だれもがすべてを真に受けているわけでもあるまい。

澁谷氏は他の著作も、キャッチーなタイトルで惹きつけるが、果たして研究としてなりたっているのかいささか疑問である。
さらに、「日本の包茎は恥ずかしいとされているけど、実際はメディアが作ったイメージだから、メディアの訴え方が悪いよね」という結論ありきで、文献が都合よく引用されているような気がする。

私が文化構想学部に感じる限界はここである。批評でなく、感想になってしまうのだ。
ちなみに、あとがきに書いていたが、本書の目的は「男性が自分の身体に自己肯定感を持てるようになれば」という。余計なお世話である。
これがもしも男女反転すると、男性研究者が「日本の貧乳」という本を書き「popteen」「seventeen」を参考に、「貧乳とは問題でもなく、豊胸手術は必要がない手術で、メディアが巨乳崇拝をしていることが問題である」と結論づけ、あとがきで「女性が身体に対する自己肯定感をあげてもらえれば」と言うようなものだ。

・文化構想学部に思うこと

文化のことを学ぶのであれば、最低限の文化的な教養がほしい。
アメリカの文化戦争の歴史くらい全員知識として持っていてほしい。
学問としての体系を持たないまま、高校を卒業してすぐくらいの柔らかい知識で、漫画と決めたのであれば漫画だけをそれらしく論じるのは限界があると思うのだ。

ICUのリベラルアーツであれば、学部問わない幅広い学問を学ぶことがでけきる。包茎だったら、医学の側面と、経営学側面と、いろいろな側面で語ることができるだろう。

筑波大学だったら、社会・国際学群ー社会学類になるだろうか。この場合学校
HPで挙げられているように、最初から「グローバル化する社会で生起する複雑な諸問題」と研究対象が決まり、比較人類学のようになるだろう。

早稲田・文化構想は、1年次に英語と第二外国語と基礎クラスを履修すればあとは好きなように授業を組み立てることができる。先出した同期のように、楽単とマンガ論だけで卒業することができる。せめて、せめてでもジェンダー学は必修にしてほしい。なぜなら私の同期は、アニメを愛するミソジニーで、アニメを論評しても「ディズニーの女性観」「ポリコレ」などの視点と逆行するような嗜好を持っていたので。

文化構想学部の中でも、イスラムは名門だし、全員が全員問題だとは思わないけど、卒業して数年経ってみて「大学で学問を学ぶこと」を改めて考えたとき、新設の四文字学部って問題あるよなと思ったから、備忘録的に書いてみる。



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アンナカリイナ
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