私と茶碗
母から聞いた話番外編。
私の茶碗はすぐ割れる。誰が洗っても、どんなに丈夫な物を買ってもすぐ割れる。大学生時代、なぜこんなに茶碗が割れるのか、いつ割れるのかを原因を話し合ってみた。
「昨日割れた時なんかあった?」
「いや…今日ちょっと色々あったけど。後ろの人が講義中ぶっ倒れて近場の皆で医務室に救急搬送した。その時ちょっとバイタル測ってたらストレッチャーにぶつかった位。倒れた子は大丈夫だった。」
「…この前お父さんが割った時は?」
「んー、なんだっけ、階段踏み外したんだっけ?ああ、バスのタラップ踏み外したんだっけ。あの降りた先が氷ですっ転んだ事件ね。」
「…その前自分で欠けさせたときは?」
「ちょっと隣町のボランティアの会議に行く時に仲間の車に乗せてもらってた時に事故りそうになったwwwスピード出し過ぎだって言ったのにさ!」
「……」
「……」
「あんた、もうちょっと落ち着いた生活ってできないの?」
「いや、私のせいだけじゃないものもあるから!」
どうやら、厄落としという側面があるらしい。
母は、昔から私や妹が大きな病気をするたびに皿や茶碗が割れていたのは気づいていたそうだ。また、体が丈夫になって病気が減ると相対的に割れたりひびが入ったりする回数は減っていったそうだ。
いちばん最近象徴的だったのは、今年の冬に遠方の友の所に遊びに行って事故に遭った時のこと。私は家にいなかったので茶碗はだれも触ることがなかったはずなのに、勝手にひびが入ってたそうだ。
事故は大したこともなく、自分も友達も友達の車も大した被害はなかった。相手は怪我しなかったけど相手の車はべっこべこになってて青ざめたのだけど、このおかげだったんだろうか。
ちなみにその友達がこの前うちに遊びに来たんだけど、その子が使った新しめの茶碗も謎のヒビが入った。ちょっと使うには厳しい深さと大きさのヒビだったので、残念だけど廃棄。
…もしかしたら、その事故の時のツケをそこで払って行ったのかもしれないなぁ。