第137回 クラウス・フックス
テヘラン会談の中で、ソ連は日本に参戦したら満州、特に大連や旅順を貰い受ける事を密約されました。しかしスターリンは隙あらばもっと領土を獲得しようと思っていました。
1943年11月、原爆開発を急ぐチャーチルは、イギリスからパイエルスを中心に有能な科学者をロスアラモスに派遣しました。ロスアラモスは若手が多かったので中堅所の科学者を見て憧れました。
他にはオットー・フリッシュ(リーゼ・マイトナーの甥)、爆発にかなりの知識を持つジェームズ・タック、そして秘かにソ連に機密を流しているクラウス・フックスもいました。
おでこが広く、痩せぎすのフックスは、ドイツ人ですがナチスに反抗し、イギリス国籍を取っていました。臨界や爆縮の知識に優れていた33歳の青年でした。フックスはナチスと闘っているソ連を秘かに応援していました。
普段はとても大人しく寡黙でした。しかし何かを秘めている感じはありました。そしてアメリカに住む姉に会うと言ってしばしば外出していました。(続く)
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