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第79回 「若菜」の帖の展開(2)

東宮の女御となった明石の姫君はどんどんと皇子・皇女を産みます。六条院の冬の御殿に来た時、祖母に当る明石の尼君から出生の事情を聞き、姫君は周囲に感謝します。源氏もやって来て「紫の上に感謝しなさいよ。成さぬ仲の貴女を一生懸命養育したのだから」と言います。姫君は素直に頷きます。その紫の上は、次第に成長していく女三宮に傾いていく源氏に不安感を覚えます。明石の姫君が産んだ女一の宮を引き取り、気を晴らしています。

しかしついにその日は来ました。女楽が終わった夜、紫の上は長年の心労で倒れてしまいます。その夜、源氏は女三宮の所へ行っていて、三宮がまだ必死に琴を練習しているのを「もういいでしょう」と止めさせて共寝します。
ここで香子はまた「六条の御息所」に登場して貰いました。夕顔・葵と生霊で殺して、今度は死霊として紫の上・女三宮に祟るのです。

二条院へ紫の上を移して看病する源氏。ここで六条院はがら空きとなります。ここでかねてより女三宮を思慕していた柏木(かつての頭中将の息子)が小侍従を使って忍び寄り、思いを遂げてしまいます。
亡き一条天皇は猫を愛し、また笛が上手でした。
香子は、猫の紐が簾にかかって女三宮の姿を見せたり、柏木が笛が得意などと一条天皇を忍ばせて彰子を喜ばせています。
しかし立ち姿を見られたりする女三宮の不用意を香子は書きます。柏木からの密通の手紙を茵(しとね)の下に隠しておいたのを忘れ、事もあろうに源氏に発見されてしまうのです。
自分は若い時に父の妻を寝取っておきながら源氏は若い柏木と女三宮をねちねちと苛めます。
柏木は死に追い込まれます。かつて若宮呪詛で道長に叱責されて1日で亡くなった高階明順の事を香子は覚えていました。

女三宮が薫を産んで出家する辺りまで、物語は出回り、彰子からも香子は礼を言われました。
「式部。本当に有難う、こんな良い物語を・・・まさしくこの『若菜』を読まねば『源氏の物語』は始まらぬ気がします。主上にも読ませてあげたかった・・」
「勿体なきお言葉」と香子は平伏するのでした。

女三宮が瀕死の柏木に最後の手紙を送る所が話題となっていました。
「立ちそひて消えやしなまし憂きことを 思ひみだるる煙比べにー柏木が死んで煙になりましょうと言ってるのを私だって煙になります。比べましょうと言っているのだけれど、その後に『おくるべうやは」-遅れるものですかと言う三宮の言葉。いつの間にこんなに成長したのかと・・・」

女三宮の規範とされた小少将の君も満足げでした。
「式部様、有難うございます。女三宮がこんなに立派な女人となって嬉しうございます」
にこりと笑う香子と小少将を見て、
「いいわねえ、小少将の君が羨ましいわ」
女房達は二人を見て言うのでした。

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