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第30回 平清盛(6)常盤御前

頼朝が捕まった頃、清盛を訪ねてきた女性がいました。源義朝の妻、常盤(ときわ)御前です。すごい美人で、雑仕女(ぞうしめー女中)を雇う時、千人応募があってその中から三人だけ選ぶのに入ってしかも一番美しかった。授業でよく「美女美女の美女」なんて言ってましたが。

その頃は十五歳ほど。早速、義朝に見初められ妻となり、三人の男子を産みました。義朝の正室であった、頼朝の母は嘆いた事でしょう。平治の乱の少し前に亡くなりました。頼朝は常盤御前に含む所があったと思います。

義朝が亡くなり、雪の中を常盤御前は三人の子を連れて彷徨います。そして頼朝が助けられるかも知れないと聞いたのか、敵の懐に助命を願うのです。

十四歳の頼朝を助けたのに、もっと幼い三人の子の命を取る訳にもいきません。出家させる事を条件に命を助けます。そしてーこんな絶世の美女がどうにでもなるとしたら、やはり男だったら食指が動きますよね。常盤は清盛のものになります。そして女の子まで産みます。

ここで腹を立てたのが清盛の正室時子。「どこぞの妻にでもしなさい!」とばかりに家来に命令して、常盤は中流貴族の妻となります。そしてまた子を産みます。義朝との三番目の男の子、牛若は寺に入ったものの、きかん気で自分の血筋を知るや「平家を討つ」と息巻いているので、常盤らは案じて夫の縁者である奥州の藤原氏の所に牛若を預け、後年、頼朝に追われた義経が奥州を頼り、結局奥州藤原氏も滅びてしまうのですから、運命を感じます。

ところで義経が追われてから、常盤の行方は知れないのです。義経の妻の父であるからという理由で河越重頼が殺されたくらいですから常盤も秘かに処刑されたのかも知れませんね。常盤が産んだ最初の子、全成だけがしばらく生きたのも不思議ですが、その辺りはまたいずれ。(続く)

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