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第82回 源頼朝、確保(2)

宗清は、捕えた頼朝が先年病気で亡くなった我が子と年頃も近く、そうすると、どことなく面影が似ている気がしました。喋ると可愛らしい様子がまずます似て見えます。
京に護送してまもなく、宗清は主人頼盛の母、池の禅尼に哀訴しました。
「禅尼様、頼朝は亡き家盛様に生き写しでございます」
「何?」禅尼は期待を込めて頼朝を見に行きました。しかし宗清が言うほど、頼朝は29歳で亡くなった家盛に似ていませんでした。家盛は長身でしたが、頼朝は小柄だったのです。
しかし、禅尼は思いました。
「確か宗清の男子は先年亡くなったという。きっとその子に似ているのであろう」 禅尼は、
「ほんに家盛にそっくりじゃ。これは何とかせねばならぬのう」
と言いました。宗盛は平伏しました。

その頃、頼朝の母方の伯父から密かに、上西門院に頼朝助命の嘆願が出されていました。
「女院様、命だけは何とか助けて下さいませ・・・」
上西門院も一時、蔵人として仕えていた可愛い頼朝の身を案じていました。
(続く)

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