第65回 平治の乱、勃発。信西の最期。
平清盛が都を去って5日後の平治元(1159)年12月9日。藤原信頼と源義朝は、信頼暗殺の陰謀が発覚したという口実のもとに、数百騎の兵を率いて、後白河上皇の御所である三条殿を急襲しました。信西がいる筈だったからです。「信西を探せ。女に化けているかも知れぬ」
男女を問わず多くの者が虐殺されました。火がつけられ、人々は逃げようとして井戸に飛び込み、またたくさんの人が亡くなりました。
その中で、後白河上皇は拉致されました。警戒していた信西はうまく三条殿を逃げ出し、京から自分の領地へと向かいました。京の信西の邸は焼き打ちされました。
信西は五人の家来と山中をさまよっていましたが、もう討手はすぐそこに迫っていました。
「ここの所に穴を掘ってわしを隠せ!」
家来たちは穴を掘って信西を隠し、竹筒で息だけできるようにして山を下りました。しかし家来たちは帝方の捜索の武士に捕まり、激しい拷問の末に信西の隠れる穴を白状しました。
新しい盛り土がありました。掘り返すと、洞窟に隠れる小動物が驚くような表情をした信西が凍りついた顔をしていました。
信西は掴み出されました。「助けてくれ。褒美は望み通りに取らせる!」
「黙れ!」 信西の首は帝の近臣、源光保(みつやす)に打たれたのでした。(続く)
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