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第169回 清盛の死(3)

次第に意識が遠のいていく清盛を、妻の時子と忠臣の盛国が必死で看病しました。そこは盛国の邸でした。
「殿、この盛国、死しても平家をお守りいたします」
「嬉しいぞ、盛国」
六十九歳の盛国は平伏して感涙しました。

閏2月4日、朝方に死を予感した清盛は、後白河法皇に宗盛を宜しく頼みますという使いを送りました。しかしいくら待っても使者は帰ってきません。後白河法皇は不測の事態に備えて行方をくらましていたのです。
戌(いぬ)の刻(午後十時)になってついに清盛は我慢の限界を超えました。
「おのれ、法皇め。もう明日になってしまうではないか・・・宗盛、そなたが政治を仕切れ」
そう渾身の力で言った後、清盛は意識を失いました。
そして稀代の英雄、清盛は六十四歳で亡くなったのでした。(続く)

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