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第150回 以仁王の最期

父の自害を聞き、頼政の長男の仲綱も自害しました。それを京で聞いた仲綱の妹の、二条院の讃岐は人知れず涙しました。
亡き源義賢の遺児で、頼政の養子となっていた、仲家も討ち死にしました。
木曾で、異母弟の義仲はそれを聞きました。
「兄上、一度もお会いせぬまま・・・」
義仲も涙した。宇治では主人仲綱の馬の仕返しをした渡辺競(きおう)も討ち死にしました。

以仁王は30騎ばかりで落ちていましたが、ついに平家の討っ手につかまり、雨が降るごとくに矢を射られ、落馬し首を取られました。
以仁王の乳母子・宗信は辛くも池の中に逃れ、浮き草を頭に被って身を隠していました。
やがて、頸(くび)のない死体が戸板で運ばれるのを見ました。目を凝らすと、見覚えのある王愛用の小枝の笛が差されていました。
宗信は声を抑えて忍んで泣き、平家軍が去ってから池から上がって濡れた着物を絞り、泣く泣く逐電したのでした。
その後、以仁王の小枝の笛は平家のものとなり、名手敦盛に伝えられたのでした。(続く)

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