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第66回 信頼のミス
信西の首は獄門にかけられました。信頼と義朝は車の中から、その無念に眼を閉じた首を見物しました。義朝は溜飲を下げながら思いました。
「父上、遅まきながら信西を討ち取りました。お心、安らかに」
信西の命令で父と弟たちを処刑したのでした。
人々も獄門の信西の首を見ました。
「三百年ぶりに死刑を復活させた信西殿が、今度は自分が討たれて獄門に乗ろうとは・・・」
「異国でも、毎日余りにたくさんの打ち首を速やかにするために、刃物を上から吊るす道具を作って、自分もその道具で打ち首になったとか・・・」
義朝は清盛との対決を考えていました。必ず清盛が反撃に出てくると思ったからです。しかし清盛に関しては、信頼と義朝の考えは違っていました。
信頼は清盛を討つ気がなかったのです。幼い息子の信親を清盛の女婿としているので安心しきっていたのでした。(続く)