第141回 頼政の算段
頼政は息子の仲綱に静かに言いました。
「平家全盛の世でただ一人、源氏と言えばわしだけが廟堂(びょうどう)におる。「離れ石」と言われ、嘲(あざけ)られている頼政じゃが、最後の花を咲かそうぞ。よいか、仲綱・・・」
「はい、いかようにも」
涙を堪えて頷く仲綱に、頼政は謀反を決意しました。
頼政に当てはありました。後白河法皇の第三皇子、以仁(もちひと)王です。
以仁王は幼少から聡明であり、母の身分も低くないのに、親王宣下も受けられませんでした。全ては平家を母に持つ憲平親王を皇太子にするためで、不遇の日々を送っていました。そしてこの度は、何の落ち度もないのに所領を勝手に取り上げられていました。
ちょうど高倉上皇が厳島から京に還幸された日に、頼政は王の邸を訪れました。(続く)
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