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第163回 義経と与一

頼盛への中傷が続く平家の人々に清盛は諭しました。
「確かにあの時、頼朝を助けたのは失策であった。しかし、頼朝を殺していても別の頼朝が出る。平家を倒そうとする者は他にいるのだから」
清盛は暗に後白河法皇の事を言いました。

富士川の戦いの後、頼朝の黄瀬川の陣に、奥州から義経がやってきました。
一人でも戦力が欲しい頼朝は、いつもの様に感動を装って義経を迎えました。「九郎か・・・会いたかったぞ」
純粋な義経の方は「兄上!」と本当に感涙しました。
鎌倉にはすでに駆け付けていた、義経の同母兄、全成がいました。
「また、母上を苦しめた常盤の子か・・・」
感涙を装った裏で、頼朝は苦々しく思っていました。

鎌倉に一緒に戻った義経は、全成とまた感動の再会を果たし、打倒平氏を目指して武芸に打ち込みました。
ある日、那須神社に武勲を祈願しに行った時、義経は、小柄ながらひどく弓がうまい子を見ました。
「家来にして遣わす」
実は義経は弓が苦手でした。その少年は腕っぷしが太く、百発百中の腕前を見せつけました。少年の名は那須家の十一男で与一と言いました。(続く)

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