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第125回 鹿ケ谷の変(2)
成親が宴の途中で立ち上がった時に、前にあった瓶子(へいし)を倒してしまいました。俊寛と西光は最初驚きながらも、
「何と平氏が倒れた!」
「それをどうする」
「首を取りましょう」
と瓶子の首を壊して一同は大笑いしました。
「もう平氏も終わりじゃのう・・・ははは」
しかしそれを見ていて、武力を任された多々行綱は、計画の余りの杜撰(ずさん)さに閉口しました。
「こんな計画で今の平家を倒せるわけがない」
行綱は宴が終わるとその足で、西八条の平家のところへ駆け込みました。その時、清盛はいました。
ただならぬ表情の行綱に家人は清盛に取り次ぎました。
「こんな深夜に」
訝しがっていた清盛は、全貌を話す行綱の言葉を静かに聞き、そして証拠として持ってきた旗揚げ用の三十反(たん)の布を見て烈火の如く怒りだしました。
清盛は布を焼き捨てさせました。その間に行綱は逐電しました。
「謀反人どもを皆捕えよ!」
そう言いながら清盛は、これで比叡山に兵を差し向けなくて済むと安堵したのでした。(続く)