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第78回 「若菜」の帖の展開(1)

香子は「女三宮」をどんな人に設定しようかと考えました。
「やはり、なよなよとした方がいいわ。そう小少将の君の様な・・・」
香子は『紫式部日記』で小少将の君の事を「二月の柳のようになよなよとした方」を書きましたが、物語の中で女三宮の事を「二月の中頃の柳の様な方」と評して、「これでは全く同じだわ」と一人苦笑しました。

「若菜」の帖が展開されていきました。
源氏四十の賀で、養女玉鬘が差し出した「若菜」やそれにまつわる歌から帖の名が決められました。
四十になった2月、源氏は、異母兄朱雀院の皇女で14歳の女三宮を新しく妻に迎えます。永遠の女性藤壺の妹を母に持つと言う若い女性に食指を動かした結果でした。
同じく藤壺の姪ながら32歳と段々に姥桜になっていく紫の上。それに正妻の座さえ追われていく悲しみ。
この悲しみは充分に彰子様にも分かって貰えるだろうと香子は思いました。

ところが男の身勝手。期待した女三宮はただ幼いだけの姫でした。源氏はまた調子よく「貴女が一番だ」と言って紫の上の懐に戻ろうとします。けれど紫の上の気持ちは醒めてしまっていました。『女三宮が成長して魅力的になればまたあちらへ行ってしまうのだ・・・』と。

石山寺に10日参籠した後で、続きは宮中で書くことにしました。
女三宮は小少将の君を模しているとばればれなので、早速、小少将の君は香子に拗ねました。
「式部様、あれでは身分が高くても馬鹿な姫ですわ」
香子は、小少将の君をなだめました。
「待って下さい。これからとても良い場面があって女三宮が源氏を越えるのですよ」 (続く)

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