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小児に対するジフェンヒドラミン外用剤、思わぬ副作用に注意!

 蕁麻疹や虫刺されなど、皮膚の痒みは身近な健康問題の一つです。市販薬の種類も膨大ですが、大きくステロイドを主成分とする外用剤と、抗ヒスタミン薬のジフェンヒドラミンを主成分とする外用剤に分けることができます。
 
 ステロイドを配合した外用剤は、高い有効性を期待することができ、用法用量を遵守し、適切に使用している限りにおいて、安全性も高いと考えられます。
 一方で、ステロイドに対して否定的な価値観を有する人も多く、副作用に対する懸念や恐怖感からステロイドを忌避する傾向性をステロイド恐怖(Steroid Phobia)と呼びます(Contento M, et al. 2021; PMID: 34287768)
 
 そのような中で、ジフェンヒドラミンの外用剤は、一定の効果が期待できる一方で、安全性も高く、汎用的に使用可能なかゆみ止めの一つとして認識されていることも多いかもしれません。
 実際、ジフェンヒドラミンを主成分とする新レスタミンコーワ軟膏の製剤添付文書においては、禁忌項目の設定はなく、小児にも使用可能であり、副作用に関する記述も極めて簡素です。

 全身性の副作用に関する記述は皆無ですね。ジフェンヒドラミンは、古くから使用されている抗ヒスタミン薬です。また、新レスタミンコーワ軟膏は内用薬ではなく外用剤なので、塗布部位の発疹やはれなどの副作用は生じ得たとしても、全身状態を脅かすような重篤な有害事象はイメージしにくいのかもしれません。
 
 しかしながら、ジフェンヒドラミンの外用剤といえど、乳幼児にとっては致命的な副作用を発症する可能性も知られています。
 今回の記事では、ジフェンヒドラミンの外用剤における重篤な副作用症例を解説したうえで、同薬の販売実務における基本的なロジックを整理したいと思います。

ジフェンヒドラミンの外用剤って、そもそも有効性が期待できる?

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