(経口)ビスホスホネート製剤をちゃんと飲めている人はどれくらいですか?
ビスホスホネート製剤は、予防的な薬の中でもわりと効果がはっきりしており、短期的には骨粗鬆症患者の骨折リスクを低下させることが知られています【表1】。
【表1】閉経後女性に対する経口ビスホスホネート製剤の骨折予防効果【NNT/3年】(参考文献1より引用)
しかし一方で、その服用方法は複雑であり、飲みにくい薬として有名ですよね。ビスホスホネート製剤の添付文書には「起床後、最初の飲食前に服用し、かつ服用後少なくとも30分は水以外の飲食を避ける」「食道炎や食道潰瘍が報告されているので、立位あるいは坐位で、十分量(約180mL)の水とともに服用し、服用後30分は横たわらない」「口腔咽頭刺激の可能性があるので噛まずに、なめずに服用する」などの記載があります。
朝の起き抜けに多めの水で薬を飲み、30分ほど上半身を起こしたままで過ごすことは、人によっては面倒だと感じることもあるでしょう。認知機能が低下している高齢者では、その服用はかなり困難であると言わざるを得ません。
また、不快な症状を緩和するような対症治療で用いられる薬ではありませんから、一般的な内服薬と比べると、その服薬アドヒアランスは決して良くない印象があります。とはいえ、「どれくらいの人がビスホスホネート製剤をきちんと服用できていないのか」について、客観的に語られることは少ないように思います。今回はビスホスホネート製剤の服薬アドヒアランスについて、服薬説明に役立つエビデンスを紹介します。
ビスホスホネート製剤の服薬継続割合は?
ビスホスホネート製剤の服薬アドヒアランスに関して、2019年にシステマティックレビュー【2】が報告されていました。この報告では15か国で実施された観察研究89件がレビューの対象となっています。研究参加者の平均年齢は53~80.8歳、追跡期間は3か月~14年でした。
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