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インフルエンザの猛威が再び!バロキサビルの有効性や安全性をあらためてレビュー!

 抗インフルエンザ薬として2018年に発売されたバロキサビルは、1回の服用で治療が終了する簡便さから、2019年のインフルエンザ流行シーズンでは、処方頻度も高かったように記憶しています。

 抗インフルエンザ薬の利便性に対する経済(金銭)価値を、コンジョイント分析の手法を用いて解析した研究によれば、日本で承認されている抗インフルエンザ薬の中でも、バロキサビルは経済価値が最も高い薬剤であると結論されていました(Hosogaya N, et al.2021;PMID: 33470138)

 一方で、新型コロナウイルスの世界的なパンデミックの影響で、世界国家で集団レベルの感染対策が強化され、インフルエンザウイルス感染症に罹患する人は激減しました(Takahashi H,et al. 2024;PMID: 38188373/Matsuda A, et al.2023;PMID: 37085782)

 実際、B型インフルエンザウイルスの山形系統においては、世界から消滅してしまった可能性すら指摘されています(Koutsakos M, et al.2024; PMID: 38452776/Paget J, et al.2022;PMID: 36177871)。

 このような状況の中で、発売時には注目を集めたバロキサビルも、その関心度が大きく低下したように思います。
 ところが2024/25シーズンにおいては、インフルエンザウイルス感染症が再び猛威を振るっており、抗インフルエンザ薬の処方量も急増しています。

 今回の記事では、バロキサビルに関する主要論文をあらためてレビューしながら、有効性や安全性、薬剤耐性に関する知見を整理します。

合併症リスクが低いインフルエンザウイルス感染症に対するバロキサビルの効果

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