供給不足と過剰使用で社会問題化されるデキストロメトルファン、その有効性と安全性は?
鎮咳薬(咳止め薬)の供給不足は、医療現場に大きな混乱をもたらしているだけでなく、マスメディアでも取り上げられるなど、小さくない社会問題と化しています。
一方で、鎮咳薬を含む市販薬の過剰使用(いわゆる乱用[濫用])も繰り返し報道されるなど、同薬を取り巻く状況は穏やかではありません。
2021年に、OTC医薬品として販売されたメジコンせき止め錠Proは、デキストロメトルファンを配合した鎮咳薬で、医療用医薬品のメジコン®と全く同じ薬剤です。
医療用のメジコン®の供給が厳しい一方で、メジコンせき止め錠Proを大量に入手し、その画像がX(旧Twitter)に投稿されていることもまた事実です。このような状況の中で、鎮咳薬や総合感冒薬は製造販売すべきではない……と言った論調のSNS投稿も見受けられます。有効性が小さい割には、有害事象のリスクが高いというわけです。
今回は、社会問題と化している鎮咳薬の過剰使用や供給不足を踏まえ、デキストロメトルファンの有効性や安全性について整理し、同薬の過剰使用と副作用のリスクをまとめたいと思います。
よく分かっていない!?デキストロメトルファンの作用メカニズム
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