薬剤疫学における研究デザインの設計思想:新規使用者ザイン(new-user design)とは?
薬の有効性や安全性に関する観察(薬剤疫学)研究においては、薬剤の新規使用者を曝露とすることが一般的です。新規使用者を曝露とすることによる研究デザイン上のメリットとして、以下の事項を挙げることができます。
なお、Immortal time biasとは、被験者(研究参加者)が曝露を受けるまでの期間、必然的に生存していなければならないという事実を考慮しないことで生じるバイアスです。
例えば、臓器移植を受けた患者の生存率を評価する観察研究において、移植手術を行うまでの期間は患者が生存していなければならず、この「不死時間(Immortal time)」を考慮せずに分析すると、死亡率を過大評価(つまり、生存率が高くなる)してしまう可能性があります。
薬剤の新規使用者を曝露とするコホート研究のデザインは新規使用者デザイン(new-user design)と呼ばれますが、同デザインはまた、❶new-user versus non-user、❷active comparator new-user、❸ prevalent new-userの3タイプに分類することができます。
今回の記事では、新規使用者デザインにおける3つのバリエーションについて、その概要を整理したうえで、解析結果に対する解釈の相違などを解説します。
新規使用者デザインにおける3つのバリエーション
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