薬を服用するときの水の量は、どれくらいが適切ですか?
薬を服用する際の水の量は、コップ1杯(100~150ml)程度と言われることが多いですよね。ただ薬の種類によって、望ましい水の量は異なることに注意が必要です。例えば、消化性潰瘍の治療に用いられるアルギン酸ナトリウム(アルロイドG顆粒溶解用)は、その添付文書に「20~60mLの水で溶解して服用する」と記載があります。この薬の胃粘膜保護作用は粘稠性による粘膜被覆であり、摂取する水分量を多くしてしまうと粘度が低下し、期待される効果が得られないと考えられています。
他方で、薬を服用する際の水の量が少ないと、深刻な副作用が出てしまうケースもあります。骨粗鬆症治療薬に用いられるビスホスホネート製剤による食道炎がその代表でしょう【1】。もちろん、薬がのどに詰まってしまうことを防ぐために、服薬の差異にはコップ1杯の水が推奨されているわけですけども、今回の記事では薬による食道炎とその特徴、実際のところどれくらいの水の量で薬を飲んだらよいのかについて、服薬説明に生かせるエビデンスを紹介します。
薬による食道炎とその特徴
服薬の際に水の量が少なかったり、臥床した状態(ベッドなどに寝た体勢)のまま飲み込もうとすると、薬が食道でとどまってしまうことがあります。この状態で薬が溶けだしてしまうと、薬によっては食道に炎症が起きてしまうこともあります。食道炎を引き起こす薬は30種類以上(文献によっては70種類以上)も知られており、特に注意が必要な薬にはビスホスホネート剤の他、抗菌薬(テトラサイクリン、クリンダマイシン)、鉄剤、鎮痛薬(NSAIDs)などを挙げることができます【2】~【4】。
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