インパクトのある大規模臨床試験結果がもたらすものと”Rule of Three”

 慢性心不全では心拍出量低下の代償として、交感神経系の活性化と、それに伴いレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(Renin-Angiotensin-Aldosterone System:RAAS)が活性化している。したがって、アルドステロン分泌が促され、体液貯留が起きやすい状態にある。

 RASSの活性化が慢性化すると、心筋の線維化や心筋肥大、つまり心筋リモデリングを助長することにつながる。そのため理論上は、β遮断薬や、ACE阻害薬/ARBなどのRAAS阻害剤、アルドステロン拮抗薬(スピロノラクトンやエプレレノン)がなどの薬剤が、心不全患者の生命予後改善に寄与すると考えられ、実際、臨床試験でもそれらの有用性が示されている。

 本稿では、左室不全による重症心不全に対するスピロノラクトンの有効性を検討したランダム化比較試験であるRALES試験を取り上げ、その研究結果が実臨床に与えた影響を見ながら、有害事象の検出をめぐる問題点を見ていく。

【RALES試験概要】
 RALES試験の結果は1999年にN Engl J Medに掲載された。

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