片頭痛に対するトリプタン系薬剤、どんなタイミングで飲んだらよいですか?
片頭痛治療薬として従来から用いられていたエルゴタミンなどの麦角誘導体製剤は、有効性に優れた5-HT1B/1D受容体作動薬であるトリプタン系薬剤にほぼ置き換えられたといってもよいかもしれませんね。そんなトリプタン系薬剤ですが、片頭痛予防に対する保険適用はなく、基本的には「頓服」で用いる薬剤です。
頓服とは食後など決められた時間に服用するのではなく、頭痛時や発熱など、症状がひどい時に、医師に指示されたタイミングで服用する飲み方のことを指します。ただ、薬剤師としては「医師に指示されたタイミング」というのが曲者です。診療に忙しい医師は、患者さんに対して「薬の具体的な服薬タイミングについては、薬局で効いてください」とお話していることも多いと思います。それゆえ、頓服薬に関する用法説明は、薬剤師による服薬説明の「キモ」と言ってもよいかもしれません。
トリプタン系薬剤の添付文書を見てみますと「片頭痛の頭痛発現時に経口投与する」と記載があります。しかし、この「頭痛発現時」とは、どんなタイミングなのでしょうか。今回はトリプタン系薬剤の服薬タイミングについて、服薬説明に役立つエビデンスを紹介します。
トリプタン系薬剤の歴史とその薬物動態プロファイル
セロトニンと片頭痛の病態生理については、1959年にSicuteriが片頭痛発作中に5-HT代謝産物の尿中排泄増加を発見したことに始まります【1】。1991年に臨床応用されたスマトリプタンは、5-HT1B/1D受容体作動薬の中で最も古い薬剤であり、片頭痛における標準治療の地位を確立する礎となりました【2】【3】。
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