ピロリ菌のスクリーニングは、胃がんの予防や胃がんによる死亡を減らしますか?
胃がんの発生率や死亡率に対するヘリコバクター・ピロリ菌のスクリーニングの効果を検証したランダム化比較試験が、2024年9月30日付でJAMA誌に掲載されました(Lee YC, et al. 2024;PMID: 39348147)。
ピロリ菌の除菌療法は、消化性潰瘍の予防に効果的であることが知られています(Ford AC, et al. 2016;PMID: 27092708)。
また、ピロリ菌に感染していることは、胃がんの危険因子であることも報告されています(Yamagata H, et al. 2000;PMID: 10888970)。
ピロリ菌の除菌はまた、胃がんの発症や胃がんによる死亡リスクの低下をもたらす可能性も示されていましたが、質の高い研究データは限られていました(Ford AC, et al. PMID: 32628791)。
健常者に対してピロリ菌の除菌を行うと、胃がんの発生率は低下するかもしれませんが、その効果量については不確実性が高く、日常生活において実感に値する効果なのかについては議論の余地があったわけです。
むろん、ピロリ菌のスクリーニングに対する有効性についても、質の高いエビデンスは限定的であり、その実効性についてはよくわかっていませんでした。
今回の記事では、地域住民を対象にピロリ菌スクリーニングの有効性を検証したLeeらの論文を批判的にレビューし、ピロリ菌のスクリーニングの是非について考察してみたいと思います。
先入観を持たずに論文を読むことが大事
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