【コラム】”エビデンスは役に立たない”は壮大な誤解!?EBMという方法論について。
この【コラム】では、エビデンス(臨床医学に関する論文)との向き合い方について、様々な観点から論じてきました。重要なことを端的に申し上げれば、「エビデンスが役に立つかどうか」ではありません。「エビデンスを使う君が顧客の役に立てるかどうか」なのです。
むろん、このことはあらゆる学問知や情報の取扱いにおいても同様です。何かが役に立つかどうかで情報価値を判断するのではなく、それを役立たせるあなたにこそ情報価値は宿るのです。
エビデンスが示していることは、あくまでも統計解析に基づく有意性であったり、信頼区間で示された推定値です。
この数値が真に正しい値かについては神のみぞ知るところであって、絶対的に正しい真理ではありません。
その意味では、エビデンス1つだけで、何かについての白黒がはっきりするとか、薬が誰それに安全であるとか、この症状に◎◎が有効であるとか……そういうことが明確になるような代物ではありません。
ところで、僕の趣味の一つに株式投資があります。ある企業の株を買って保有することで、株価の上昇を期待するわけですが、将来の株価を予測するための重要なエビデンスが企業の決算に関わる資料です。
この資料は財務諸表と呼ばれますが、企業の売り上げや保有されている資産および負債などのデータがずらりと並んでいます。このような会計的事実を参考にしながら投資判断を行っています。
しかし、どれほど財務諸表を眺めていても、それは現時点における会計事実であり、その企業が将来にわたって利益を上げ続け、企業として成長出来るかどうかは分かりません。つまり、財務諸表に記載されている会計的事実は、企業の株価が上がるとか、下がるとか、明確に分かるような代物ではないのです。
今回の【コラム】では、OTC医薬品の販売実務におけるエビデンスの活用と、株式投資における財務諸表の活用の類似性を考察したうえで、EBMという方法論をご紹介します。
エビデンスの活用という視点で見る類似性
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