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【投資日記:2024年8月28日】オンワードを買い戻した理由

 2024年8月5日の日経平均暴落のおり、僕はオンワードの株式を全て売却しました。取得単価が570円台であり、含み損が大きかったこと、なによりも銀行株の取得に資金を集中したことが理由です。

 しかしながら、マーケットが少し落ち着いた段階で、オンワードの株式を少しずつ買い戻しておりました。現在は、ポートフォリオの6.2%平均取得単価は531円です。
 2024年8月28日の終値は529円であり、若干の含み損が発生していますが、同日にWEGOの完全子会社化に関する開示が出されています。
 
持分法適用関連会社の株式追加取得(連結子会社化)に関するお知らせ

 オンワード、「WEGO」を完全子会社化 Z世代取り込みへ

 
 オンワードは、WEGOの株式の20.27%を保有しており、会計上はWEGOを持分法適用関連会社としていました。また、オンワードは2025年2月期第1四半期決算の発表と同時に、連結業績予想を上方修正しており、その理由を「経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益については、持分法適用関連会社の業績が好調に推移し、持分法による投資利益の計上等により前回予想を上回る見込み」としていました(2025年2月期 第1四半期決算短)。
 
 WEGOの収益性が、当初の予想以上に向上し、連結決算に組み込んだ方が、オンワードの企業価値向上に寄与し得るという判断なのかもしれません。
 おそらく、今回の子会社化は期初の計画には含まれていないものと思われ、開示資料には「本件株式取得に伴う 2025 年2月期の当社連結業績に与える影響につきましては、現在精査中であり、今後公表すべき事項が生じた場合には速やかにお知らせいたします」と記載されています。

WEGOの収益性が予想以上に改善!?

 子会社化に関する開示資料には、WEGOの経営成績が掲載されています。当期純利益は3期連続でマイナスであり、一見すると赤字企業を買収しているようにも見えます。
 
 しかしながら、営業利益は2022年2月期から2023年2月期にかけて大きく赤字幅が縮小しており、マイナス幅が大きい利益段階は経常利益〜当期純利益であることが分かります。おそらく、減損損失等を計上することで、損失を確定し、収益性の向上を図っていたものと思われます。

  実際、オンワードの2025年2月期第1四半期決算では、持分法による投資利益が131百万円と、前年同期のマイナスからプラスに転換しており、同期上方修正の要因にもなっています。
 ちなみに、オンワードの2024年2月期本決算において、持分法による投資損失は△249百万円でした。WEGOの2024年2月期の当期純利益は△1525百万円であることから、オンワードが計上すべき投資損益は×0.2027で△309百万円と見積もることができ、持分法による投資損失の計上額と整合します。
 
 このことから、WEGOの第1四半期の当期純利益は600百万を超えるものと想定できます。同社の収益性がさらに向上していくとするならば、連結決算の再上方修正も期待できそうです。

確かなシナジーが期待できる可能性

 WEGOの主要顧客は10〜20歳代の若年層であり、これはオンワードの主要顧客である30~60歳代と異なります。一般的に、新規顧客開拓は企業にとって大きな負担を強いるものです。今回の子会社化によって、効率よく新規顧客開拓が図れることは、オンワードにとって大きなメリットであり、競争優位性を確保する源泉にもなり得ます。

 10歳代から60歳代以上の幅い年齢層を顧客とすることで、単に顧客数が増加するだけでなく、時系列的な観点から顧客接点が増加し、顧客生涯価値の向上を意識した商品開発が可能となります。また、多面的な市場ニーズを効果的に把握することができ、固定客の維持・拡大につなげることができます。
 
 オンワードは積極的なIT投資を行ってきました。クリック・アンド・トライのような成功体験をWEGOにも適用し、効率的な店舗運営を行うことも期待できるでしょう。
 これまで、主要な販路を百貨店に依存してきたオンワードですが、SCやECなど、収益性の高い販路で独自のブランドを訴求できる企業に変貌しています。この変化を、マーケットはまだ十分に評価していないように思います。控えめにいっても、予想PER:8.7倍、実績PBR:0.9倍は割安ですし、配当利回り4.54%は魅力的です。
 

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