メキシコ麻薬戦争を読む② 【白黒つけることの功罪】

テキサスとメキシコの国境線にあるファレスという町。そこをカルテルが制圧しようとして戦争が起こる。

殺人による死亡者数
2007年 320人
2008年1600人 主戦場となった年
2009年2700人
2010年3600人
わずか3~4年で10倍以上。とんでもない状態。

メキシコ戦争はカルテル同士の抗争が原因であり。殺しはいわゆる見せしめ。
パフォーマンスのために何の関係のない人たちが次々と巻き込まれる。

麻薬戦争の最中、カルテルはアメリカを相手に年間400億ドル稼ぐ。国と同じくらいとも言われる。
ロサンゼルスが拠点で最終はニューヨークにたどり着く。ニューヨークで大麻が残ることはない。
ニューヨーカーの大麻の欲望は底しらず。だからアメリカでの抗争は起きないとも言われている。

アメリカは大麻を欲しがり、メキシコはアメリカ人からお金を欲しがる。
その分け前を奪い合う形でファレスでの戦争が激化する。

その図式を崩せば戦争の激化をなくすとも言わないまでも減らすことができる。
じゃあ何ができるのか。

「大麻の合法化」という手段。

禁止されている。表では買えない。だから裏での高額な取引になる。
高額なお金を目当てにさまざまな問題が勃発する。

アメリカでは13州で合法化されている。
これは「禁酒令」と似ていると指摘する人も多い。つまり、禁止するからブラックマーケットが盛んになる。
合法化してコントロールできるように教育していくことで、さまざまなリスクやコストを減らすことができる。
それはアルコールの問題が完全になくなるわけではなく、酒を買うことが犯罪組織と繋がることとイコールにならないようにすること。
大麻もそのようにすべきであるという考え方。
現在の日本とは全く違う環境なのであてはめることは違うし、アメリカで合法だから日本でもと言うのは違和感がある。
あくまで国家ではコントロールできないレベルで国内に大麻が持ち込まれているからであり、島国日本では対策のやり方があると思う。

開沼さんの「漂白される社会」でもあるように、なんでもかんでも禁止して白でなければ黒という社会になってしまう。白黒がはっきりしたグレーのない社会では白に這い上がる人も当然いるが、黒に転落する人もでてくる。犯罪に手を染めればなかなか白の世界に戻ることは難しい。こうして貧困が広がり、社会の安全が脅かされるようになる。グレーを認め、コントロールするための施策をしていく環境づくりをしないことには根本的に解決はない。

何度も書くが アメリカの大麻容認が良いと言いたいのではない。しかし、現在の法律が意味をなしてないまま税金と労働力が消費されている事実がある。そこを改善する一つの方法だと言いたい。
これは色んな示唆に富む話で、さまざまな場面で問われることだ。

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