作品がつくれなくなる。
ご無沙汰しております。更新のたびにご無沙汰してますって書いてる気もしますけど、なんなりと元気にやっております。治療は続いてます。またそれは別記事で書きます。
前回の更新から、更新ネタをいろいろ頭の中で展開はしていたのですけど、なかなかこのnoteの画面にたどり着かず、浮かんでは消えを繰り返していました。今日書くのは、たまたまです。パソコンの前にいてちょっと時間があったから。noteの管理画面のボタンをクリックしたのです。言い訳しながらぐずぐずしていたけど、思い切ってお風呂に入った…という感じかもしれません。
先日作家と話した内容です。その作家は、ここ数年で超売れっ子になり展覧会をやっても完売続き。お店から求められる量もまいどまいど増えていき、それでも完売。もともと量をつくることはしんどい方ではなかったけど、50半ばになると肩の痛みがひどくなり、眠れないほどに…。
その作家がいうには、うつわを作ることばかりで、作品がつくれなくなってしまう。たくさん作るとなんだか薄まるようで…。だからこれからは、うつわは常設納品をがんばって、展覧会は少量で作品に力をいれたい。と。
なんだかよくわかりました。
は?と思われるかもしれませんが、ちょっと聞いてください。子供の頃の教科書にのっていたお話。詳細は間違っているかもですが、こんなお話でした。おサルが運転する機関車が動物園で大人気。次々にお客様が並んで乗っていきます。おサルは車掌の仕事をたのしんでいました。だけど、動物園側は収入を得ようとどんどん機関車の車両を増やしていきました。そのうち、機関車は線路をぐるりと1周してしまう長さに。先頭に乗っていたおサルの車掌は最後尾に乗るおサルの背中を追いかけることに。こんなのおかしい。車掌の仕事が全うできない…仕事の誇りが保てない…そして、彼は病んでしまいます。このお話のタイトルは「車掌の本分」だったと思います。
作家の気持ちはまたちょっと別だとは思いますが、なんだかこのお話を思い出すんですよね。一枚一枚、神経を集中して作ったものを、上から順番によく見られることもなく文字通り飛ぶように売れていく。そして、また次の展示に向けてイチから作っていく。抽選入店に当選した同じ人ばかりが買っていく。お店にたまたまあって、新しく出会うようなお客様との偶然の広がりがない。
売れてるのに贅沢な悩みかもしれませんけど、自分の仕事の誇り、楽しみがどこにあるのか…また、どちらを大事にすることがしあわせにつながるのか。そういうことを考えました。
誇りや楽しみだけでは食べてはいけないけど、そのバランスは大事だし、その部分を守っていけるようなお店を続けられたらなぁと。とても抽象的で具体性がないけど、頭と気持ちの中に置いておきたいなと思ってます。
「車掌の本分」のお話、伝わりますかね。まだ誰にも話したことないことで、まとまってる自信はありません(汗)