見出し画像

(13) フォルクスワーゲン ゴルフGLi (Ⅲ型)(1993年)

フォルクスワーゲン ゴルフGLi (Ⅲ型)(1993年)
所有期間 2000年4月~2000年6月

■フォルクスワーゲン ゴルフGLi (Ⅲ型)  について
ドイツ・フォルクスワーゲン社の水冷エンジン搭載FFハッチバック「ゴルフ」の3代目。
日本国内では92年(平成4年)に発売が開始され、98年(平成10年)の4代目が発売されるまでの6年間販売された。
ゴルフは小型ハッチバックとして世界中で販売されており、その真面目なコンポーネントは小型車のスタンダートとして、世界中の自動車メーカーの見本とされている(と言われている)クルマである。
ゴルフの搭載するエンジンは1.4リットルガソリンエンジンから2.9リットルガソジン、ディーゼルエンジンなど、多数のラインナップを揃えているが、日本国内ではガソリンエンジン4種類、ディーゼルエンジン1種類を持つモデルが正規輸入されていた。
国内版のグレードは1.8リットルSOHCエンジンを搭載する「CLi」が2ドア、4ドアの2種類。2.0リットルSOHCエンジンを搭載する「GLi」が4ドアで1種類。2.0リットルDOHCエンジンを搭載する「GTI」が4ドアで1種類。そして、V6-2.8リットルエンジンを搭載する「VR6」が4ドアで1種類。ディーゼルエンジンでは1.9リットルエンジンの4ドアで1種類。あと、GLiをベースにしたオープンボディの「カブリオレ」が1種類など、国産車並みの多彩なラインナップを揃えていた。
ドイツ車らしく堅実で真面目な作りをしており、小型大衆車としてもっとも不満の少ないクルマであるが、日本国内で購入する場合、割高な価格設定であることが残念でならない反面、その割高なプライスタグがゴルフの知名度を作っていることも事実であり、本来のライバルであるジビックやパルサー、ミラージュなどの国産車とは一線を画す存在である。
また、アウトバーンを持つドイツらしいフニャフニャ感の少ない足回りを持つため、乗り心地は固めであるが、そのぶん、しっかり感が適切に表現されている。
現在はゴルフⅢから新型のゴルフⅣにフルモデルチェンジしているが、販売台数も多く、現在でも見かけることの多いクルマである。

■現車紹介

in_proのスモークタイプに変更

■個人的な概要
インフィニティの売却に伴い、スカイライン一台ではいろいろと不都合があるため安いクルマを物色した結果、いきおいで購入することにしたクルマ。
すでに6年落ちであることや走行距離が結構いっていることなどから、買い取り相場も安いのだが、このクルマの場合、主要個所の部品交換をキチンとおこなわれていたので、よしとした。
ゴルフの場合、エアコンや冷却系は壊れ安いようであるが、このクルマはすでにこれらを修理済みで、更にタイミングベルトの交換も済んでいるため、予定では向こう1~2年はさしたる修理はかからないと思う。(が、わかんないんだよな。ゴルフっていつ壊れるか・・・)
このクルマは前オーナーが新車で買ってから普通に乗っていたため、改造個所もなければ事故歴もないため、程度は悪くないのだが、どういうわけか細かい小キズは多々あった。
また、純正鉄ホイールはクルマ屋さんが別のゴルフに流用してしまったため、社外品のボロボロの14インチアルミホイールと消耗しきったスタッドレスという有様であった。
あと、フロントの足回りのジョイントが一ヵ所消耗していて、ステアリングにガタが発生していたので、これは修理した。
内装、外装とも、クリーニングはあまり行き届いていなかったが、単に清掃していなかったというだけなので、これはクリーニング&洗車でキレイになった。
(なんせ、前オーナーさんはこのクルマに全然愛着を感じていなかったようだ。完全に小型大衆車として認識していた。ま、わかるような気もするが)
で、いきおいだけで購入したゴルフであるが、購入当初から「売却」を意識して、いろいろと変更をした。(これについては上記を参照してください)

■私情インプレッション

・走りに関して
一言で言うと、「ゴルフだな」となる。
というのも、なんせ特徴が無いのが特徴みたいなもので、乗った印象はそのまんま「ゴルフGLi」である。
・・・・こんな説明ではわけがわからないので、補足したい。
私は外車は結構運転している。
というもの、行きつけのクルマ屋さんが下取り車を代車に貸してくれることが多いのと、中古車の納車などにもよく付き合うことがその理由であるが。
そんなわけで、ゴルフはこれまでにしょっちゅう乗っている。程度の悪いものもあれば、極上と思えるものまで、多々ある。
これまで乗ったゴルフはゴルフⅡのGLIやゴルフⅢのCLI、そしてGLIである。
そんなわけで、今回購入したゴルフGLIも実は何度も乗っているのわけだ。
で、このゴルフの印象であるが、全体として思うのは「実用性が全ての小型車」を地でいっている。ということになる。
まず、エンジン。
2リットルの直4SOHCエンジンは、実に実用的なエンジン。
最大出力はカタログ値で115ps。最大トルクは16.6kg。
この数値からして、じつに控えめである。というか、実に物足りないと感じるスペックである。
で、はっきり言うと、「これなら国産1600ccエンジンのほうが良いのでは?」という感じである。
もちろん、普通に乗る分に困るエンジンでは無い。
普通に買い物して、普通に通勤して、普通に近所に出かける。といったシチュエーションでは不便に思わないエンジンである。
が、それは国産の実用1600ccエンジンを搭載したクルマとなんら変わり無い印象しかない。
結局、実用性は十分なエンジン。ということで、「やっぱりゴルフだな」という印象である。
ちなみに、エンジンの音は結構うるさい。
また、SOHCなのでレスポンスが悪いのはしかたが無いにしても、正直、ディーゼルエンジンのような印象を受ける。
次にオートマチックミッション。
このゴルフのミッションが故障しているのかもしれないが、どういうわけか、50kmくらいを越えないと4速に入ってくれない。
で、これ自体はいいとしても、コワイことに、この50~60kmで速度が前後するとき、4速から3速に勝手に移ったりする。
で、これの解決策としてポジションをDレンジから3レンジにしておくことになるのだが、正直、燃費も悪いだろうしエンジン回転数の騒音も大きいなど、デメリットしかないのであまり使いたくない。
シフトショックはそこそこあるが、これは気にならないレベル。ただ、変速のタイミングが遅い感じがする。が、やっぱりこれも実用性ではまったく問題ない。
あと、あくまで計算上であるが、スピードメーターは240km/hまであるものの、最高速度は200km/hはおろか、190km/hも怪しいという感じがする。
次に足回り。
乗り味自体は、やっぱり「ゴルフだな」という印象。
どうしても国産1.6リットルクラスとの比較になってしまうのだが、少なくともフニャフニャ感は十分に押さえられていて、それでいてストロークは十分にある。
乗り心地はお世辞にも良いとはいえないが、しっかり感があるため、個人的にはこのくらいが好みである。
また、安定感はかなりあり、コーナー限界はそれほど高くないものの、ステアリングもリニア感があり、高速道路のようなシチュエーションでは落ち着いて走行できる足回りという感じである。
足回りに関連して、このクルマで一番感心するのはブレーキである。
もともと操作系はアクセルペダルにしてもステアリングにしても重いのであるが、ブレーキもどちらかというと重い部類に入る。
で、これが良く出来ていて、ブレーキ自体もかなりよく効くため、ブレーキに対する不安感は微塵も感じない。
ゴルフに限らず、ドイツ車はブレーキがよく効く(かわりにローターの痛みも早いが)のだが、この効きは絶対的なブレーキ性能というよりも、ブレーキング時の安定感といったほうが合っているようで、たとえ4人乗車してもブレーキ操作に違和感を感じることはない。
この点はカローラやサニーとは大きく異なる点である。
実際に運転してみると、操作系の重さを感じるのだが、特にステアリングの重さ(というか、抵抗感)は少々気になる。
これが、意図的にされているものなのかどうかは不明であるが、エンジン特性も踏まえ、これらのことから、「普通に乗る」のに丁度良い代わりに、ドライビングを楽しむ。という気にはならないのも事実である。
正直、このゴルフGLIを運転してても、「ドライビング」の感覚がない。
なんせ、アグレッシブな運転をしようとすると操作系の重さで疲れるだけでなく、早い動きにはリニアには追従してくれない。
もちろん、それを踏まえてコントロールすることは可能なのだろうが、エンジン特性とオートマの動きを考えると、無理してまで元気に走る気にはならない。
ということで、「実用性が全て」という堅実なクルマ。という印象が強く、走りうんぬんをどうこう言うクルマではない。(まあ、もともとそういうクルマなのだが)

・内装
内装もやっぱり「ゴルフだな」という印象。
デザインについては好みの問題なので意見が分かれると思うが、なんにしても「必要なもの以外はなにもない」という至って真面目な作りのクルマである。
なんせ、黒一色のじみな内装であり、デザインもおしゃれとはかけ離れた実用性一色をそのまま具現化したようなもので、これがかえって良いという人も多いかと思う。
クルマとしての堅実さは操作系にも現れていて、国産車では「安っぽい」とされるダイヤル式の空調コントロールパネルも、実に似合っている。
今回のクルマはエアバックが装着されていないためグローブボックスがあるが、後期型のゴルフⅢの場合、助手席エアバックのためグローブボックスがなくなってしまう。
エアバックのこともそうであるが、全体的に収容スペースが少ない点が少々残念である。
センターコンソールにも小物入れはなく、フロントパネルのところにある収納スペースはいまいち使い勝手が悪い。
ドアポケットはあることにはあるが、深さが無いためあまり便利とは言えない。
あと、室内空間はかなり広く、全長4000mmの小型ハッチバックとして見た場合、室内空間の広さは「さすがゴルフ」と感じる。
特によくできていると感じるのは、トランク部分で、後席の背もたれが倒れるだけでなく、座面を外すことも出来るため、座面を前席後ろに押しこんだのち、背もたれを倒すとフラットなトランク空間が出来あがる。
これらの室内空間の作りこみはさすがに実用車として世界中の見本となるだけのことはある。
個人的な印象としては、マツダ・デミオに実に似ていると感じている。
もちろん、室内空間をフルに使おうとした場合はデミオに軍配が上がるわけであるが、ちょっとした荷物を運ぶなどのシチュエーションではデミオに近い感じである。これはシビックとは大きく異なる点である。
また、シートの作りもドイツ車らしく、へたりは国産車の比較にならないほど丈夫に出来ている。
前席のヒップポイントはかなり高いものの、パッケージングが優れているため、ヘッドクリアランスもかなりあり、圧迫感は実に少ない。
あと、このサイズのハッチバックとしては後席の作りもかなりしっかりしている。
後席の空間もしっかり確保されているため、4名乗車でもソツ無くこなせる。
とかく、実用性という点ではじつに良く出来たクルマで、最近の国産ミニバン系コンパクトと比較をしてもそれほどの差はないと感じる。
また、ドイツ車らしく、小型サイズのわりにドアの開閉音は良いなど、ボディのしっかり感を随所で感じることが出来る。

・問題点(故障内容)
現在のところ、特に無い。というか、故障しているところはデフォッガーの1で風が出ない点だけで、特に問題は無い。
もっとも、ゴルフⅢGLIの場合、プラグコードのリーク、パワーウインドウの故障などがよくあるトラブルなので、いちおう覚悟をしている。
まあ、輸入車としては故障も少ないし、距離によるヘタリも少ないクルマなのでそのあたりは安心している。

・個人評価
なんせ、このクルマは「ゴルフ」という一言で済んでしまう。私としては他にコメントのしようのないクルマである。
ただ、このクルマを購入したとき、会社の同僚の一部からは「ゴルフいいなあ~私のクルマと交換しない?」とか「やっぱり柳沢さんはクルマにこだわるもんねえ。今度はゴルフなんだ」など言われた。が、その反面、実際にゴルフに乗った人の中には「○○さんの乗るクルマって感じじゃないね」とか「どうしてこのクルマ買ったの?」という意見も聞かれた。
人により、言うことが大きく異なる。それがゴルフ。だと思っている。
で、そんな話はともかくとして。
ゴルフⅢは、小型ハッチバックとしては実に「可もなく不可もない」という実用性クルマとしてよく出来ていると思う。
なんせ、全長も4020mmしかないのに、中はそこそこ広い。
使い勝手も良いし、なにより着飾らずになんのためらいもなく「ゲタ」として使える。
今でこそ、マツダがデミオを出し、トヨタはさらに使い勝手の良いラウムやミツビシ・ディンゴなどのコンパクトミニバンが販売されているが、ゴルフⅢが日本に導入された当時を考えると、同クラスのパルサーやシビック、ミラージュより格段に使い勝手の良いパッケージングであり、フォルクスワーゲン社の堅実なクルマ作りが理解できる。
そういったことから、首領YとしてはこのゴルフⅢ型GLIは「良く出来た小型一般大衆車」だと思っています。
あ、あと、言い忘れたことを幾つか。
もともと左ハンドルのクルマを右ハンドルにしているため、アクセルペダルの位置が悪い。国産車に慣れてしまうとブレーキとアクセルを一緒に踏みそうになる。
ウインカーが右ではなく左にあるため、間違えてしまいそうになる。
今時のワゴン系ではめずらしくなくなったが、ハッチバックが後ろで開けられるのは便利。(当時の国産ハッチバックではこれがないのが多かった)

<更新日2000年06月06日>

・2000年6月5日売却
結局、もともと売却するつもりだったということで、2ヶ月乗っただけで、個人売買で売却してしまった。
クルマの程度がよかったため、かなり強気で売却できたわけで、利益もバッチリ出すことができて、満足している。
この2ヶ月で乗った距離は2500km程度である。
たったこれだけの所有期間だったゴルフであったが、いちおう、オーナーとして思うことはいくつかあった。
思うことはいろいろあるのだが、その話はここではしないことにする。
ただ、もし、「ゴルフが欲しい」と思うことがあるのなら、どうか、冷静に判断して欲しい。と思うのが本音です。
(それにしても、売却して全然未練が残らないクルマってのも珍しいな)