(16) フォルクスワーゲン ヴェントGLi(1996年)
フォルクスワーゲン ヴェントGLi(1996年)
所有期間 2001年12月~2004年08月
■フォルクスワーゲン ヴェントGLi について
3代目フォルクスワーゲン・ゴルフの4ドアセダンバージョン。
近代フォルクスワーゲン社の中核モデルにあたる「ゴルフ」は3ドアハッチバック&5ドアハッチバックであり、この「ゴルフ」の場合、モデルチェンジしても名前は変更されないが、この「ゴルフ」のコンポーネントを流用した4ドアセダン版は毎回名称変更されており、ヴェントは3代目ゴルフのセダン版に付けられた名称である。
(ちなみに、2代目ゴルフのセダン版は「ジェッタ」、4代目ゴルフのセダン版は「ボーラ」である。これらは全て「風」にちなんだ名前である)
このため、ヴェントは3代目ゴルフの兄弟車であり、フロントデザインが若干異なることと、リアがハッチではなく独立したトランクルームになっている以外はゴルフとまったく同じである。(ホイールデザインが違うなどの点はあるが、基本コンポーネンツはもちろん、内装、ドアに至るまでまったく一緒である。)
ヴェントは3型ゴルフの2ヶ月後の1992年6月、日本デビューした。
ゴルフが若者向けであるのに対し、ヴェントは落ち着いたフェイスを持ち、高年層に向けたデザインとなっている。
当初のグレード構成は、1800ccエンジンのCLiと2000ccエンジンのGLiの2グレードであったが、翌年にはゴルフ同様、2700ccV6エンジンを搭載したVR6も追加された。
95年にはゴルフ同様マイナーチェンジが実施され、エアコンが日本製になった他、オートマやエンジンに改良が加えられた。また、フロントグリルも変更され、いわゆる「ハッピーグリル」となった。
98年、ゴルフが3型から4型にフルモデルチェンジした際、セダン版の新型は発表されていなかったが、翌年の99年、ヴェントの後継機にあたるボーラが登場し、販売は終了した。
■現車紹介
■個人的な概要
彼女(現在の奥さん)との結婚が決まった際、「二人して2ドアに乗っているのはマヌケだなあ」と考え、奥さんのプレッソを売って購入したクルマ。
(いちおうオイラが全額出したため、クリスマスプレゼントということになっている。)
結婚も控えているため、とりあえず「そんなに高くなくて長く乗れる小型のFF4ドアセダン」というセンで検討。
当然、中古で、平成7年以降で考えたところ、セフィーロあたりも考えたが、彼女には大きすぎるということで断念。
結局、彼女がその昔あこがれ(?)ていたフォルクスワーゲンゴルフに良く似たヴェントを見せたところ、いきなりお気に入りとなった。
無論、平成7年以降のヴェント、長野あたりの田舎の場合、ディーラー(ファーレンやDUO)ではアホみたいなプライスタグをつけている。
(実際、平成5年あたりのGLIですら60~70万円。平成7~8年ともなると気安く100万円からそれ以上になっている。いったい誰が買うんだ?)
というわけで、YAHOOオークションで物色。案の定、距離9万kmの平成8年GLIを30万円を発見。これをゲットした。
無論、9万kmというハンデはあったが、実車はとても程度がよく、事故歴もなし。5年落ちで9万kmの内容は高速道路主体の通勤だったようだ。
なによりありがたかったのは、記録簿がちゃんと付けられていて、整備・車検は前オーナーの地元のファーレンであった。
購入時には車検なしのナンバー切れであったため、売却者(自動車屋)に陸送してもらった。大阪から長野までの陸送費は4万円。
車検関係は行きつけのクルマ屋さんで実施。ナンバー取得もひっくるめて14万円。(左ブーツ交換が高かった)
で、距離も乗っているため、タイミングベルト、ファンベルト、フロントブレーキパッド、エンジンマウントを交換。この作業は日産ディーラーに3型ゴルフに詳しいメカがいるというので安心して任せることができた。これらはひっくるめて5万円。
とまあ、なんだかんだでブチ金54万円であったが、車検2年ついて、主要部品が交換されてこの価格なら悪くない。という感じである。
ちなみに平成8年のヴェントGLIは、後期型となり、バンパーがオール塗装になっている。(これは割と嬉しい)
・走りに関して
以前、平成5年のゴルフGLIを所有していたため、これとの比較となるが、あいかわずパワーはない。というか、必要十分なパワーはあるのだが、いまどき(当時)の国産2リッターと比較するとマジメにパワー感に乏しいものの、ただ、これくらいで十分といえば十分。
実際、115psのカタログスペックなわけだが、回らないエンジンであるため、印象としては5A-FE(トヨタの1500ccハイメカツインカム)とトントンくらい。というか、5Aがスムーズに回るのに対して、そんなに回らない代わりに少しだけトルク感がある。・・・実用でお買い物程度であれば不満はない。という感じである。
平成5年のゴルフGLIと比べて大きく違うのはパワステが軽くなったことと、シフトショックが少なくなったこと。そして、騒音が減った(といっても相変わらずだが)と言った感じである。
ただ、パワステが軽くなっていることで、以前は「・・・・トリモチ?」と感じたフィーリングに対して、重さが気にならないレベルに改善されていることは良いと感じている。
走行性能はいたって普通。結局、「ゴルフだな」であるが、ゴルフらしく、非力なパワーに対して足回りはしっかりしている。
このあたりはドイツ車らしく、速度を出していっても不安はない。(が、肝心の速度が出ないのだが)
また、前回のゴルフと同様であるが、ブレーキは安定している。このあたりは国産1600ccファリミーカーとは大きく異なることろで、すごく効くというより「安心してブレーキが踏める」という言い方がピッタリである。
まあ、やっぱり「ゴルフだな」となってしまうが、実用上は不満もなく、全てが「普通」の走りである。
ちなみに、標準サイズのタイヤは185-60-14であるが、今回、このクルマには195-55-15のタイヤを組み込んだ。
(オークションで購入したVW純正BBSホイールが15インチだったため。出展者の人が間違えていた。まあ、儲かったような感じなので良いのだが)
185-60-14と比較してもそれほど大きな変化はなく、この程度のインチアップであれば乗り心地に大きな変化はみられない。このあたりも国産と異なる点である。(これはサスペンション周りがしっかりしている証拠。)
・内外装
これも平成5年のゴルフと一緒。とはいえ、助手席エアバック&運転席エアバックがついたため、若干印象は異なるが、基本的には一緒である。
ちなみに、ゴルフ、ヴェントとも、後期型ではエアコンのボタンや送風切り替えのボタンが日本人にも分かるように「AC」と「マーク」に変更されている。これは実にありがたい。
各室内の部品は5ドアゴルフと一緒で、違うのはリアシート後ろのリアガラスとリアクオーター部(ハッチバックとセダンでは当然違うが)程度で、比べたことはないのでわからないが、もしかしたらリアシートの背もたれも一緒かもしれない。
(ちなみに、ゴルフとヴェントはドアまで一緒。当然、内装も一緒である。)
外装はゴルフが5ドアハッチバックであったのに対し、ヴェントはセダンであるため印象は若干異なる。
フェイスマスクはゴルフとは異なり、角張った印象になっている。良く言えばシブい。悪く言えばジジくさい。といった印象である。
そんなゴルフのセダン版のヴェントであるが、所有してみて何より驚いたのはトランクルームの積載能力の高さ。
外形ボディサイズはマツダ・ファミリアセダンや日産サニーとほとんど同一というコンパクトサイズであるにもかかわらず、トランク容量は異様に広い。
また、ゴルフ同様、リアシートの座面をたたんで背もたれを倒す機構になっているため、トランクスルーにするとほぼフラットなキャリアスペースが出来上がるが、これまた?マークがつくくらい広い。
リアシートを倒さなくても十分に広いスペースのため、荷物は予想以上に積むことができ、この部分では良い意味で期待を裏切られた感じすらする。
また、ドイツ車らしく、シートの作りは良く、10万km乗ってもヘタリはほとんどない。(見た目はチャチなシートなんだが)
あと、欲を言えば運転席周りの収納スペースが少ないことが挙げられる。
・問題点(故障内容)
購入したヴェントは距離こそ9万kmであったものの、手入れが行き届いていたことと後期型であることからコンデションはすこぶる良いものであった。
とはいえ、さすがに国産車ではないため、いろいろと問題もある。
ヴェント、ゴルフの両車に共通していることであるが、パワーウインドウの故障は「お約束」である。
今回購入したヴェントも案の定右リアドアのパワーウインドウが故障。この故障は4枚どれでも発生するし、修理したところでそのうちまたなるので始末が悪い。ということで、兆候(上げ下げするときに異音がするなど)が出たら迷わず修理する個所である。
ゴルフ、ヴェントともに、初期型と後期型ではエアコンが異なる。初期型は本国仕様であるのに対し、後期型では日本製のエアコンを装着しているため、今回のヴェントではエアコンはあまり心配していない。
購入してすぐに交換したのはエンジンマウント、Vベルト、タイミングベルトであるが、これらは国産車に比べかなり早い段階でダメになるものの、交換作業自体はかなり簡単であるため(タイミングベルトの交換ですらシロウトでもできる)、それほど出費にはならない。
最近ではこれらのパーツを通販で安く販売していることもあり、また、作業が簡単なため近所の整備工場に部品ごと持ち込めば工賃を安く上げるも可能である。
あと、難儀といえばバッテリーである。
フォルクスワーゲンの場合、エンジンを切った後、水温が一定以上に達しているとエンジンが冷えるまでファンモータを勝手に回す仕組みになっている。このバッテリー消費は無視できないため、やはり高性能バッテリー(輸入車用)を搭載したほうが安全であるがいかんせん価格が高い。
もっとも、これも通販で購入すればディーラーで購入するよりかなり安くなる。
まあ、国産車ではないので、こんなものでしょう。
(ファンの人たちはいろいろと良いことを言います。が、やっぱり小型大衆外車です。故障とか、性能を考えると不利なことは間違いありません)
・個人評価
このクルマに何を求めるかで評価は人それぞれであるものの、海外では基本的にサニー(パルサー)やファミリアのライバル車であり、そういった意味では大変良くできた小型大衆車である。
ボディサイズは全長437cmであり、扱いやすく、乗りやすい。そのくせトランクルームが異様に広い。エンジンはパワーはないものの、町乗りでは困るわけでもない。と、小型大衆車のポイントはしっかり押えられているクルマである。
燃費はハイオク仕様で町乗り8~9km/Lとあまり良くないのが残念であるが、ゆっくり走ればまだよくなりそうな気配であるため、なんとか我慢できる範囲であるといえる。(とはいえ、販売当時の国産ライバル車と比べるてもあまりに悪いが)
とはいえ、彼女は満足しているようですし、なにより、安かったので良しをしましょう。
ところで。
私(と彼女)の世代は昭和40年代の世代です。この世代、ちょうどバブル到来のころに免許を取っているわけで、このころ(1988年~)は、若い世代の多くがクルマに熱中していた世代だったります。
そして、当時、フォルクスワーゲンゴルフは妙なステータスがありました。
お洒落なイメージ。貧乏とは無縁のイメージ。友人の彼女でカネ持ちのお嬢さんが新車で購入するクルマ。そんなイメージのクルマ。それがフォルクスワーゲン・ゴルフだったわけです。
なにより、欲しいもの。それは「高いクルマ」という時代でした。
でも、今はどうなんでしょう。
若い人たちはそんなにクルマに興味はないようです。
このヴェントをみるたび、ふと、時代の流れを感じる今日この頃です。