ひとりぼっちの宇宙人─ウルトラセブン視聴記─ ウルトラ警備隊西へ(前編)
ひとりぼっちの宇宙人
─シューチョのウルトラセブン視聴記─
第14話「ウルトラ警備隊西へ(前編)」[後編と合わせてA]
首元銀色のセブンが登場するのはこの第14・15話のみですね。スーツアクターを、いつもの上西弘次さんでなく きくち英一さんが担ったためにサイズ調整したことの名残りだそうです。背中の出っ張りも同じ事情でしょうか。また片手の構えがいつもと違って平手であることについては、自分が演じたということを映像に残しておきたかった、という主旨のきくちさんのインタビューをどこかで読んだ記憶があります。──どこなのかは調べればわかりそうですが、本稿では、なるべく二次資料には当たらず、視聴のみによる感想・想起・思考を綴ることを主としたく……。──
それでも、きくちセブンが実現したのは、上西・きくち両氏の体型、特に身長が近かったからでしょう。「ウルトラマンの古谷敏性」「セブンの上西性」ということが厳然としてあり、それらが、長身の巨人ウルトラマンと小柄で機敏なウルトラセブンという、「ウルトラマンのウルトラマン性」「セブンのセブン性」の大部分を形作っています。
セブンに馬乗りになったキングジョーの肌合いに、金属光沢感よりも土埃感が出ていたことには改めて少し驚きました。
アイロスに続き、エメリウム光線が効かずアイスラッガーも跳ね返す謎のスーパーロボット。つぶらな瞳におちょぼ口。いかにもロボット然としていながらユーモラスでもあるキングジョーの顔は、動物に似過ぎた?あるいは擬人化された?LOVOTのアニメ顔よりも、よほど愛らしいといえませんか。そのキングジョーが、バムとケロのケロのように大暴れする。
劇中、「ペダン星人が地球の観測ロケットを侵略と誤解した」ことの説明は詳しくなされますが、それ以外は、素早い場面転換によって、何がどうなっていくかを次々と示すのみで、何かしら謎めいたものを残しながら幾分淡々と進みます。アマギとアンヌに台詞がなかった?ことも「淡々」の象徴。謎の一つ=敵かと思しき怪しい男は実は味方、偽ドロシーを追う秘密諜報員だった、ということは明かされますが、「侵略─観測の誤解」という物語の核心については後編に持ち越されます。