私からあなたへ

桜が咲きました。

あなたが初めて自分から連れて行ってくれた場所。
最初はこんな場所に何があるのって思ったけど、そこにはとても素敵な桜がありましたね。

見せてくれたときは、まだ蕾がいっぱいで、

ごめん、いつもだったらこの時期には咲いてるはずなんだけど。ってあなたは言っていたけど、私にとって本当に素敵な思い出になりました。

あなたはいつから知っていたのかな？ずるいよ、あんなに綺麗な場所を独り占めしていたなんて。

教えてくれてありがとう。

あなたと一緒に満開の桜を見たいから私は

今度は絶対に、満開の桜を一緒に見に来ようね。って言ったよね。

いつも振り回してごめんね。
もしかしたらあなたの最後の逃げ場所も奪ってしまったのかもしれない。

あの場所はあなたにとって特別だったんだよね。
その場所を私は、
私のせいで、行くたびに嫌な思いをさせたくない。

だから、ね。
約束があります。最後の約束。

私のことは忘れてください。

そして私なんかより素敵な子を見つけて
私とは見れなかった満開の桜を見に行ってください。

大丈夫！あなたなら直ぐに見つかるよ。
あなた結構モテてたんだよ。
知らなかったでしょ。
生真面目で優しくて、目立つことはなかったかもしれないけど、その優しさに救われた人はたくさん居たんだよ。

私もその一人だったんだ。
一時でも私があなたと、恋人になれたのは奇跡みたいなものだったんだよね。
すっごい嬉しかった。

だから、だからね、
あなたに救われた少女Ａのことは忘れて
ヒロインを見つけてください。

あなたの優しさは私が独占しちゃいけないものなんだよ。
もっと沢山の人に向けて、もっと沢山の感謝をもらってください。
そして、あの世で私に
こんなに素敵な人が一時は私の恋人だったんだよって、自慢させて。
お願いねっ

さて、そろそろ検査の時間なので
ここまでにしておきます。

――実はね、あなたと一緒に桜を見に行ったあと一人で見に行ったんだ。
その時はもう桜は散っちゃっていて、結局満開のあの桜は見れなかったのが、
ちょっと寂しいかな。

じゃあね、ばいばい。

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