幻想への祈り~ミリオン10thAct4day2の光景について~

 夢のような二日間だった。
 終わってから一週間経っても尚、余韻に浸れるほど。
 そんな二日間の中で、一つだけ言葉にして残しておきたい光景があった。

 それはday2の終盤も終盤のこと。座席はLEVEL5の着席指定で、会場全体を見渡すには丁度良い席だった。楽曲が終わった直後の舞台は暗転していたけれど、ぽつぽつとサイリウムが灯っていて、その数は次第に増えていった。
 そのサイリウムの色は赤――春日未来の赤。
『恋のLesson初級編』から『Precious Grain』というソロのバトンが繋がっていたので、多くの人が春日未来の曲を(衣装からして、『未来飛行』を)想像していたのだと思う。かくいう自分も同じことを想像して、赤いサイリウムを灯していた。
 そして、その予想は最上の形で果たされる。披露された『未来飛行』については語るまでもなく、それでいて今後ミリオンライブが続く限り語り継がれるような内容だった。
 勿論、今回のライブが10周年記念で、ソロ曲の披露があるという前提からすると、春日未来の出番(と、その楽曲)を想像するのはさほど難しいことではない。それでも、曲が始まるまでの短い間、私たちは同じ幻想を抱き、祈るようにサイリウムを灯していた。
 幻想への祈り。
 ここにないものへの祈り。
 あの日見たものと同じくらい、あの瞬間に抱いた祈りは、私の心に残り続ける。