シン・ゴジラは第2のラピュタになるか?(完結編)

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再放送の放送から一夜明けました。(2018/12/17)

ツイート総量自体は昨年の第一回地上波放送の1/3程度でしたが放送中は一時期Twitterトレンドの20位以内のうち8種の関連キーワードが表示される、など再放送コンテンツとしては驚異的な数値を記録した放送だったといえるでしょう。

(参考: シン・ゴジラ 放送中のTwitterトレンド ランク20 抜粋 22:44時点)
1. #シンゴジラ
2. #西郷どん
3. グラブルフェス
4. #神様が良い所と悪い所を教えてくれる診断
5. #下町ロケット
6. ZARA
7. #バンドリ
8. タケモトピアノ
9. AGCのCM
10. #復活のF
11. 総辞職ビーム
12. フリーザ
13. ポセイドン
14. ふぇぐさん
15. 大杉漣さん
16. 札幌の飲食店
17. イッテQ
18. 第4携帯
19. 巨大不明生物

1日経ってある程度データもまとまってきたので
整理したデータについてまとめたいと思います。

<調査概要>
キーワード:以下いずれかを含むツイート

"シンゴジラ" "シン・ゴジラ" "#シンゴジラ" "#シン・ゴジラ" "#シンゴジ" "#シンゴジ実況" "#シンゴジ地上波"

<共起語調査>
上記キーワードを入れたツイートが、他にどんなキーワードを含んでいたか?ワードクラウドで表示して見ました。

共起語の見方は様々なので、一概に言えないポイントはあるかも知れませんが、筆者はこれを見て大きく1つの傾向を発見しました。それは

映画のシーン由来のキーワードが多いという事である。

上記トレンドを参照してもらいたいのが、
シン・ゴジラの各シーンが盛り上がる時、それぞれのシーンに固有のキーワードが各ユーザーの投稿から上がってきていることです。

(例)
ゴジラ 第一形態の上陸時→"蒲田くん"
ゴジラ ヘリで移動を試みる内閣グループに熱戦を発射→"内閣総辞職ビーム"

特に興味深かったのは、上記の内閣総辞職ビームというキーワードでして、なんと
そのシーンが放送される前の時点でトレンドに既に掲載されていました。
(楽しみにし過ぎだろ、ということ)

ここから解る事が、今回がシン・ゴジラの再放送 2回目ということもあり、シン・ゴジラのファンの間で幾つかの盛り上がる共通のシーンがあること。
そして、その特定のキーワードを含む投稿の投稿待ちのような現象が起こっていた、という事ではないだろうか。

この投稿待ちが集合し、大きなインパクトを生む事例こそラピュタのバルス現象であるのですが、シン・ゴジラのファンのなかで
この投稿待ちの現象が複数シーンで発生し、
結果放送中の20〜30分ごとにTwitterトレンドを揺るがす実況祭りが発生する、という事がシン・ゴジラ放送中に起こっていたようです。

(最後に)
ここで最後に言及したいのが、果たしてこの実況の盛り上がり自体を
企業やインフルエンサーはマーケティングに活用できるのか?という点です。

例えば、特定は控えるが幾つかの企業は
シン・ゴジラ放送中に各シーンに登場するロケ地や小道具に紐づけて
自社商品を告知する、という事をリアルタイムに行なっていたようでした。

しかし、それ自体がユーザーから"頑張っている"という印象を浸透させる事はできても、認知の向上に繋がっているとは言いづらい。(現に、このような企業の告知ツイートは良くて数100のリツイートがつく程度の盛り上がりであった)

一方で、トレンドにも挙がっているAGCのCMはマーケティング活用の切り口のひとつと言えるかも知れないので、ここで取り上げます。

これは、ゴジラが再度鎌倉に上陸したシーンに見立ててAGCのキャラクターを紹介する、オマージュ的なCMです。
AGCはこれをこの再放送に向けて作成し、流したと考えられるがスポットでの投稿ではあるがWebニュースやTwitterトレンドにも
取り上げられ、ファンの間でのざわめきを生む結果となりました。

同様のアプローチは、2018年の始めに放送された「君の名は。」のCMでもありました。

「君の名は。」の場合は正月の放送であったので、今回のシン・ゴジラ以上のインパクトもあり、実際に複数企業が同様のアプローチを行なっていたのです。

TVという媒体を活用した広告効果、視聴率の信憑性などTVのメディア価値について問われる事が最近は多くなっているように思うが視聴者=見る側、という既存のコミュニケーションに捉われずにソーシャルと絡めた実況などの現象と合わせて活用する事でこれまで取り込めていなかったユーザーへの認知を高める事は出来るかも知れません。

ポイントは、TVを通じてソーシャル上で大きな盛り上がりを生む事を考えた時に、視聴者がどのように番組を消費しているか?どのように楽しんでいるか?を分析し、その文脈に乗せて企業側も広告を乗せたり、コンテンツを生成するという事であり、これを念頭に置けば、引き続き多くの視聴者を巻き込む事ができるTVというメディアを現代でも、より効果的に活用できるのではないでしょうか。


今後はこの手のソーシャルを意識したドラマや映画というものがどんどん出てくるだろうなぁ。
スマホを形にTVで映画の再放送を観る、という行為もなかなか新鮮で面白かったので、こういう楽しみが増えていけば、TVをリアルタイムに観るという行為ももっと楽しくなりそうな気がしています。

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金清 雄太 \ Head of 65dB TOKYO
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