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チェコ買い付け日記2023⑩「プラハ城に行ってみたけれど」

プラハといえばプラハ城、かどうかは分かりませんが、メインの観光スポットであることは間違いありません。
チェコの本や雑貨を売り、こうしてチェコにまつわる日記を書いているのに、実は私はプラハ城に行ったことがないのでした。
この旅では、今回こそは、と思っていました。

土曜日。蚤の市に行ったあと、荷物もそんなに重くなかったのでプラハ城に行くことにしました。
お城の東側の麓でトラムを降りて坂を登っていきます。レストランや土産物屋が並ぶ賑やかな場所で、トラムの停留所はその中の広場にあります。広場からお城までしばらくは店が続きますが、途中からは城壁に沿って階段を登ります。
石畳の道には強い日差しが照りつけ、私は首の後ろをひりひりさせながら、できるだけ日影を探して登ります。
私と同じ方向に登っていく人と、お城から降りてくる人で、道は賑わっています。

汗だくになってやっと坂を登りきり、お城の門をくぐり、広場で写真を撮っていると、急にカメラの電源が落ちました。
しまった。昨日の夜、充電をした覚えがありません。そして今日は蚤の市で荷物が重くなるかもしれないと、バッテリーも持ち歩いていませんでした。
この旅で何度目かの自分が嫌になる瞬間…。
せっかくここまで登ってきたのだから、とスマホのカメラで済ませようかとも思いましたが、絶対に後悔すると思い直します。入場料を払う前で良かったと思うことにして、潔くこの日は諦めることにしました。
どんなに眠くてもスマホとカメラの充電を忘れてはいけません。

翌日。この日も蚤の市に行った後、リベンジです。
今回は昨日とは違う路線のトラムに乗り、プラハ城の北側にある駅で降ります。前日とは違ってすぐにお城の敷地に入ることができ、坂を登ることもありません。行きはこちら側から、帰りは賑やかでプラハの街を一望できる昨日のルートで降りていくのが良いのかもしれません。

城の北側には大きな庭園があり、「鹿の堀」と名付けられた谷になっています。堀というからには人工的な谷なのでしょうか。谷の反対側からは丘の上に建つ聖ヴィート大聖堂の迫力ある裏側が谷越しに見えます。やはり城は攻めづらい、守りやすい丘の上に建てるのが定石なのだなと納得します。

プラハ城は城というよりも城壁で囲まれた街、というのが近いイメージです。メインは聖ヴィート大聖堂。他にもたくさんの建物があり、道は広場になっていて大きく広いものから、横丁や裏道のように細いものもあります。聖ヴィート大聖堂にはミュシャがデザインしたステンドグラスがあるそうで、それが素晴らしいと書かれていました。

近衛兵のいる門をくぐり、前日に表側から来た広場に入っていきます。城壁の内側に入るのにはお金がかかりませんが、それぞれの建物に入るときにはチケットを買います。
今日もたくさんの観光客です。写真を撮りたい場所がたくさんあり、なかなか進めません。やっとのことで聖ヴィート大聖堂の前まで来ると、建物の入り口に行列が見えました。
並んでいる…。嫌な予感がして行列をたどると、入り口から建物をぐるりと回って裏側まで、100m近く。しかも列が進んでいる様子がありません。これは無理だ。

その日は日曜日で、日曜日はミサがあるからか観光客が入れるのは午後からです。だから午後に集中してしまって、いつもより混んでいるのかもしれません。

せっかく2日続けて、カメラも万全で来たのに、と思いながらプラハ城の中を歩きます。他の建物だけでも見ようか、どうしようか…。考えながら城の東の端の城壁を潜って、プラハの街を一望できる場所まで来たところで、ストラホフ修道院のことを思い出しました。

ストラホフ修道院は「世界一美しい図書館」があると言われています。元図書館司書としては興味のあるところ。場所はプラハ城の西側のさらに向こう側。散歩がてら歩いて行ける距離です。
そうと決まれば、せっかくなので、もう一度プラハ城の中を通ってゆっくりと城内を堪能しよう。良いことを思いついた自分を褒めながら来た道を引き返し、もう一度プラハ城の入り口を潜ったのでした。


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