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覚えておきたいコンプライアンス

私もエンジニア時代はあまり意識していなかったのですが、契約というものにはきちんとしたルールがあります。
SESが悪だと言われる意見の中にこの『コンプライアンスを守らない会社』が原因と思われるものが少なからず存在します。
ではどうすることが正しいのか、どういう場合宜しくないのかを見てみましょう。
エンジニアの皆さんも知っておいて損はないですよ!


前提の知識

そもそもコンプライアンスってなに?

いつからかコンプライアンスという言葉が使われはじめ、テレビなどでも目にするようになりました。
ではこの『コンプライアンス』ってなんでしょう?
よく勘違いしている人が『守った方が良いルール』のようなニュアンスで使っている人がいますが、実はあんまり正しくありません。
日本語に訳すと『法令遵守』と言われる事もありますが、実際は法令遵守+αと考えるのが正解です。
ですからコンプライアンスには『法律を守る』という面とさらに『より良いビジネスを行う』という面がある事になります。
ですから守った方が良い、という面だけで捉えるのでは根本的に足りなくて、まずは法令を守るのが最低限、と捉えるのが良いでしょう。

IT企業におけるコンプライアンスとは

SESを主な生業にしている会社のコンプライアンスといった場合、当然企業として色々な面のコンプライアンスが存在します。
就業規則のような会社と従業員の雇用契約、会社対会社の契約などなど、細かく見れば多種多様な契約が存在しそれ毎にコンプライアンスは存在します。
その中で今回は会社対会社の契約についてお話ししたいと思います
全部やっているとキリが無いし、上記以外は普通の会社と変わりありませんのでそちらを参照して頂くのがよろしいかと思います。

知っておきたい契約形態

SESの事業をやっている場合、使う契約形態としては準委任契約と派遣契約があります。
派遣契約というのは指揮命令権が顧客にあり顧客には労務管理を正しく行う義務があります。
勘違いされがちですが、会社と会社が派遣契約を結んだからといって、従業員がそれに影響されるわけではありません。
無期雇用(正社員)として採用されていれば例え会社が顧客と派遣契約を結んでも正社員は正社員です。有期雇用に変わる訳ではないのでご注意ください。
もう一つの契約が準委任契約です。
これはエンジニアが所属している会社に指揮命令権があります。
そのため最低限顧客との窓口を行う責任者と作業者の2名での契約が必要になります。
責任者は作業を兼任することは出来ますが、責任者1名のみの契約は実態として派遣契約と見なされ認められません。
最後に請負契約というものもありますが、これは○○を作ってください、出来ました納品します、でお金を貰う形です。
IT企業としては使いますがSESに限定すると使われることはありません。
また委任契約とか業務委託契約、SES契約なんて言葉を使う人がいますが、以下の理由でそれぞれ正しくありません。
委託契約:士業の人が使う契約形態なのでエンジニアには使えません
業務委託契約:請負契約、準委任契約を合わせた総称です。その二つに共通する基本的な契約を『業務委託基本契約』と呼び締結することはありますが、それは実際の仕事に対する契約ではありませんので契約形態とは言いません。
SES契約:単なる造語です。これ使う会社にはきっと法務がありません。

契約上のコンプライアンスについて

そもそもアウトな商流に入るだけの契約

一番簡単なパターンですが、自社で受注するにしても発注するにしても、自社のプロパ(社員)がプロジェクトに参画していない場合はアウトです。
しかし多くのSES企業がこれをやっているのも現実です。
ですが、これをやっている限り証券会社が認めないので上場もできないし監査が入ったら一発アウトです。
つまりこういう会社は監査が入って会社が解散になってもそれまでに荒稼ぎ出来れば良いという思想で会社をやっている事になります。
口では綺麗事を言うかもしれませんが、この契約をしているかどうかでその会社の腹の底が読めますね。
転職する際にはこういう部分を確認すると『本当の意味で』社員のことを考えている会社かどうかが見えてくると思います。

派遣契約の場合

派遣契約はシステム開発(派遣先)の仕事を受注した会社とエンジニアが所属している会社(派遣元)が直接契約する場合に契約する契約形態の一つです。
派遣先の会社がエンジニアの労務について責任を負うことになりますので、何かあれば問題になることは必至ですから派遣元も詳細に把握し問題があれば是正します。
仕事の指示も派遣先から各エンジニアに直接することができますので、SESと言われる仕事をしている実態に一番近いものがこの形になります。
ちなみにこの派遣先と派遣元に別の会社が介在した場合、二重派遣となり違法になります。
それは介在している会社と派遣先が準委任契約だろうが、実態として二重派遣なので変わりません。

準委任契約の場合

次に準委任契約ですが、これがSESでは独自の解釈をする会社が多く問題となる部分になります。
本来は仕事を持っている会社(委託元)がエンジニアが所属する会社(委託先)に『いつからいつまで、何人月分のお仕事をしてください」と依頼する形で使われます。仕事を依頼されるので、各エンジニアへの指示は委託先の責任者が行います。
責任者と作業者で構成されるものですから、複数名でなければ成り立ちませんし、委託元も責任者(仕事を依頼する人)が必要になりますのでプロパが案件に参画している必要があります。
ですがSESでは1名の準委任契約や、委託元プロパが参画していないブローカーなども多数存在し、問題の温床になっています。
これらの行為も二重派遣や偽装請負という違法行為になる場合がありますので気を付けましょう。

請負契約の場合

おまけに請負契約を説明しますと、納品物(成果物)をいついつまでに作成しますという契約を交わし、納品後にOKが出たら初めてお金を貰える契約になります。
数ヶ月かかる場合にはその間お金を貰えませんが、給料は支払わないと行けない…ということで、キャッシュフローに余裕がないと難しい契約です。
ちなみにこのパッと見の契約方法を利用し、「実体は派遣契約なのに1ヶ月くらいの仕事を請負契約で依頼する」という事をする会社もあります。
しかしこれも偽装請負と呼ばれる違法行為になります。
請負契約における納品物は作業報告書などではNGで作成物である必要があるからです。

おわりに

各契約における問題のある内容についてご理解頂けましたでしょうか。
難しい場合は自社の法務部やそれが無い場合組織の責任者さんに自分の契約形態に問題はないのか聞いてみましょう。
話しを誤魔化したりよく分かっていないようでしたらそこそこ危ないかもしれません。
システムフリージアではコンプライアンスの遵守を掲げ、
・ブローカー会社との契約排除
・自社プロパの参画しない案件についてはパートナー営業をしない
・エンジニアのスキルシートをばら撒かない
というスタンスで営業しています。
お陰で規模以上の売上はあがりませんが、これが本来の形であると考え今後も進めていく所存です。
もし興味を持って頂けたら弊社イベントなどにも遊びに来て頂けると嬉しいです!






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