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ソフトウェアエンジニア採用で技術面接をやめました

こんにちは、Ubie(ユビー)株式会社でソフトウェアエンジニアとして働いている八木(@sys1yagi)です。

ソフトウェアエンジニア採用といえば技術面接ですよね。技術的な経験に関するインタビューや、コーディングテスト、技術課題の提出、ライブコーディングなどを行い、候補者の経験や技術力、技術の方向性やキャリア観などが自社とマッチするかを確認するというのが一般的かと思います。

Ubieでは、このような形式の技術面接をやめることにしました。自社とマッチするという点にフォーカスしたとき、これまでの技術的な経験や技術的な方向性は、Ubieで働く上でそこまで大きく関係してこないということがわかったからです

技術的な詳細よりも、事業をつくることの経験や考え方を知りたい

Ubieには2つの組織があります。Ubie DiscoveryUbie Customer Scienceです。私が属しているUbie Discoveryは0→1にフォーカスしている組織です。日々の活動は不確実性の検証が主体で、 医療領域の課題の発見や業務の理解、課題解決の仮説の立案や検証の実施に集中します。

事業の現在地について話し、何が不確実なのかを見極め、次の目的地へ最速で走ります。いかに作らないか、素早く検証するか、方向転換するか、ということに日々向きあうことになります。Ubieのソフトウェアエンジニアは技術的な話が大好物ですが、それに加えてこうした「事業をつくること」に熱中しています。

そのためソフトウェアエンジニアの採用プロセスにおいても「事業をつくること」に関してどのような経験や考え方を持っているかについてフォーカスしようと考えました。

技術面接という枠組みをなくす取り組み

Ubieでは現在、技術面談の代わりに「プロダクト開発面談」を行っています。プロダクト開発面談は既存の有名プロダクトをいくつかピックアップし、候補者にどのプロダクトを作るか選択してもらいます。候補者がリード役となり、面接者と一緒に選択したプロダクトを作る過程をロールプレイしていきます。

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図. プロダクト開発面談のテンプレート

プロダクト開発面談では主に次のようなことを話します。

・プロダクトの価値、ユーザの課題
・プロダクトの事業性
・プロダクトの不確実性
・プロダクトの登り方
・何を作るか、何を作らないか
・実際の設計

これにより事業やプロダクトに関する話と、技術的な話をバランス良く同時に行えるようになりました。

候補者の現職の専門性に関係なく、採用プロセスをパスする例の積み上げ

UbieではインフラにGKEを用いています。バックエンドはRails/RubyとSpring Boot/Kotlin、フロントエンドはReact/TypeScriptとNuxt.js(現在はNext.jsに移行中)が中心です。プロダクト開発面談ではこうした具体的な技術スタックに関しては全く問いません。プロダクト開発面談を始めた当初は、技術スタックのマッチや、より基礎的な部分などについて掘り下げるパートが必要ではないかという懸念がありました。

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図. 技術スタックのマッチや基礎的なことも問うべき?

しかし懸念に反して、候補者の現職の専門性が、Ubieの技術スタックと関連しなくても、入社後すぐに立ち上がってバリバリとワークする例が積み上がっていきました。例えば次のような方々です。

前職での役職
・iOSエンジニア + エンジニアリングマネージャ
・Androidエンジニア + スクラムマスター
・Androidエンジニア + プロダクトオーナー
・AWSエンジニア + チームリーダー
・etc...

どの方も「アンラーンしながら新しいことを吸収する力」や「不確実性の中で意思決定をする力」が高く、特定の技術領域に執着せず事業をつくることに最善を尽くすことができます。まさにプロダクト開発面談で見極めたかった部分です。また、プロダクト開発面談では具体的な設計も行うので、提出された設計に関して前提条件を変えて話してみたり(フェーズが異なる場合、ある仮説が否定された場合など)、その根拠を聞くなど臨機応変な掘り下げることもできます。これらは特定の技術スタックに関係なく議論できるので、技術的な経験面や考え方についても話せます。

今後も採用プロセスを進化させていきます

採用プロセスにおいて重要なのは、「偽陽性を防ぎ、偽陰性を減らす」ことです。これらのバランスは非常に難しいと感じます。偽陽性を防ぐにはプロセスを厳しくすれば良いわけですが、そうすると本来パスすべき人が落ちてしまう偽陰性のケースが増えます。

プロダクト開発面談を始めた当初は、面談当日のその場で実施内容を説明し、1時間強でプロダクト開発に関するリードを行ってもらっていました。このスタイルは、深い経験よりも瞬発力を問う形になってしまっていました。じっくりと考えて結論を導く思考スタイルの方にはかなり不利な形式です。力を思ったように発揮できず不合格となったケースがたくさんあったのではないかと考えられます。その後事前に課題を共有する形にしたり、どういった観点で掘り下げてほしいかを詳細に伝えるなど徐々に改善を重ねていきました。技術的な評価項目なども減っていき、ついにはなくなってしまいました。

引き続き面談内容を見直し、候補者の体験の向上と偽陰性のケースを減らすことを目指していきたいと思います。

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